椎良

ザ・メニューの椎良のレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
4.4
テイスト

〈孤島の名料理店ホーソン、そこへ招かれた12人の客。彼らは絶品料理を楽しむはずが、シェフ:スローヴィクは常軌を逸した行動を取り始める。
付き添いとして店を訪れたマーゴへの、彼から向けられた視線の真意とは…〉

ブラックコメディ/不条理スリラー。近年活躍中のアニャ・テイラー・ジョイやニコラス・ホルト出演。
食事にせよコンテンツにせよ歪んだ“消費”が蔓延る現代、それは作り手すら腐敗させている。この怒りを如実に調理し、皮肉をたっぷり添えた秀作。

最高級のディナーから血みどろ騒ぎへ驚きの移行、怒り心頭シェフが仕組んだ凝りすぎ演出。後半の料理名シーンはもうギャグだったw
与えても奪われる不毛さを、ソリッドシチュエーションスリラーに詰め込んだのは流石サーチライト・ピクチャーズ発の映画。コロナ禍を経てこの映画が作られるということにもひとつの意味がある。作品としての噛みごたえと後味が絶品級!!

今作 最も注目したいのはニコラス・ホルト。食に関して知見深い人間の様に見えるが、自己愛に塗れた人間性が露見していくのはグロ描写よりもキツい。そして感涙 怯え 怒りなど演技の幅広さも楽しめる。
アニャっょぃ、レイフ・ファインズは無言演技の重み

前半はジャンルがイマイチ掴めず「今どんなテンションで観れば?」な場面があったけど これが本作品で独特のテイストを形成しているのも事実。なかなか観られないタイプの映画で良かった
あの藤本タツキ先生もTwitterで大絶賛とのこと

料理人の腕や映像クオリティは変わっていないはずなのに、最後に出てきたあの料理だけは非常に美味しそうで頭から離れない。やはり料理って愛情?
そんでこのレビューもシェフの語る“無意味”だったりするのかも?
椎良

椎良