<そこの都会的なあなたも(?)ハッ!とさせられちゃうリポソーム型風刺ムービー!>
スプリットで好演を務めたアニャテイラー主演のスリラー、今回も広く良い評判を得られそうな作品だったので、やっぱ彼女が入ってるやつは裏切らない。
そして、他の役者さんもなかなか名優揃い。この主題は贅沢の限りを尽くす人間たちへの風刺であるが故に、俳優陣も贅沢な面々、しかも役どころに対しての扱いが時として雑、というのが作品の筋とリンクしていて面白かったです。
例えば日本でいうおにぎりに近い感覚で、アメリカでは庶民にとても好まれるチーズバーガー。(サーモネーターやファイブガイズ、インアンドアウトのためにまた行きたいとすら思う)私も留学していた時それが別格に美味しいと感じました。どんな高級ホテルにもあるメニューだと思いますが、それは素朴ながら誰もが直感的においしいと思うシンプルな食事だからですよね。
本来ならシンプルで満足できたはずが、お金があればどこまでも追求されうる三大欲求のうちの'食'をベースにした社会風刺は、執拗なまでに具体的で分かりやすく、強いメッセージ性がありました。
しかも食べる側だけでなく、作る側もその食という美学を追求する精神に没頭しまっているのが現実で、それも単なる自己満足であるというのもまた事実。(すげぇ芸術的なシェフや美食家たちにぶん殴られそう)
この理が食だけでなく、他の分野においても全く同様で、富や地位を手に入れた者のみが見れる景色は、俯瞰するとただどうとでもないものに拘泥しているだけで、それを"贅沢"と呼び誇らしく鼻高々でいる事自体が滑稽だと言っているように思えました。
他の分野といえば、美の欲もまぁまぁありますよね。私も自分が好きでハマっているコスメに対しては、心の中では原材料の原価を比較するとそれ程の価値がないとわかっている(余剰なブランドバリューへの料金が課されている)のに限定品と言われて齷齪デパコスを買ってああではないこうではないと考え悩んでいるので、全く例外ではなく、消費文化への警鐘とも受け取れました。(とか言って今年も経済回しますが..w)
新技術の開発や研究成果が製品へ落とし込まれるのにかかる年月と比較すると一消費者としてはフリーライドになるくらいの価値があるものもあるにはあるし(今作品でいう過激思想的言い訳か?笑)、
食ほど生存に近くないので、好きなものが存続してほしいと願うからこそ消費はするものの、度を越すこともあるので、たまにこの映画見て反省して爆買い狂いから覚醒したいところですね。(?)笑 誰か私を止めて!!(知らんがな) ちなみにコスメ市場はこれから数年伸びるらしいですね。ポストコロナでマスクが外れるからみんな気を遣い始めるんだろうか(脱線地獄)
食を選んだのは食べたら消えるってとこも重要なんですかね。一過性であるものへの贅沢って衣住よりも余計際立ちますもんね。
細かいメニューを表示する演出がもう一級品のコントで、フォント凝ってる感じとかほんまに草(実際に笑ってはいないが)
また構成としてシンプルで面白いのも特大風刺(つまり難解な構造の映画を連連と評論することへの)な気すらさせらましたね..なお私w (まぁ思考整理トレーニング兼楽しゅーてやってんねんからええねんけど)
もはや幾重にも風刺が折り重なり浸透する、玉葱型風刺ムービーですね。スキンケアでいうリポソーム構造っぽい。(※お肌への刺激を少なくしつつも浸透性を高める。エタノールがダメでもこっちはいける人多かろう!)
よく出来た大人向けの絵本を読んでいるような感覚になる映画でした。