"味わって"食すチーズバーガー。
人間の業と狂気の晩餐。
予約困難な孤島の高級レストランを訪れたタイラーとマーゴのカップル。
そこでは、一握りの客のために天才シェフ・スローヴィクが考案した独創的なメニューが次々と提供される。
しかし、豪華なコース料理が進むにつれ、次第に不穏な空気が漂い始める。
食の芸術と狂気が交錯する中、客たちは恐ろしい選択を迫られることになる…。
レイフ・ファインズ演じる天才シェフが仕掛ける、究極のフルコース。
孤島の高級レストランを舞台に、美食とサスペンスが交錯する本作は、観客を予測不能の展開へと誘う。
美食家の舌をうならせるメニューと、背筋を凍らせる狂気が見事に融合し、現代社会における格差を絡めつつ、上流階級の傲慢さや、シェフの歪んだ芸術観など、人間の欲望の闇を鋭くえぐり出す。
華麗なセットや洗練された映像美、そしてレイフ・ファインズの圧倒的な演技力が相まって、観客を物語の世界へと引き込む。
加えて、唯一"異質"のアニャ・テイラー=ジョイ、何もかも解っている(?)ニコラス・ホルトの存在感も忘れられない。
本作は、ブラックユーモアを交えながら、食を通じた人間の業を巧みに表現している点が特徴的であり、食に関する新たな視点を与えてくれる、一風変わった作品だと思う。
2024/10/14