かおり

カラオケ行こ!のかおりのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
3.9
私は原作漫画のファンで、綾野剛演じる『狂児』という男に恋心にも似た感情を持っている女だ。
そんな私が観ても拒絶感無く、終始幸せな気持ちで鑑賞できた。
原作では合唱部の中学生『聡実くん』のモノローグ(心の中の声)を中心にして進行。
それがお笑いのツッコミとしても、朗読する日記的にも機能するという構造だが、この映画はなんとそのモノローグをほぼ全カットしている。
何ならば原作には存在しないモノローグが足されてさえいる。
しかし原作にある『擬似恋愛的な関係性の、歳の差同性同士にキュンとする感じ』がそのまま映画にも乗っている。
これを支えてるのはまぎれもなく二人の演技だろうと思う。
とてつもない人誑しのキャラクターである狂児だが、映画版狂児はそこにさらに『ここに存在していないかのような儚さ』まで要素が追加され、これが綾野剛という俳優にピッタリとハマっていた。
その強烈なキャラクターに心掻き乱される聡実君を演じた齋藤潤も、オーディションで選ばれたということだけあって、説得力があった。
心が疲れてる、癒やしが欲しい、ときめきたい、そんな気分の時に軽〜い気持ちで観て欲しい映画だった。

MIU404と犬王観た時も思ったけど、脚本の野木さんは絶対に腐女子だよね。腐女子って言っても性愛的な意味ではなくバディ物を愛する系の腐女子。
原作だと『これ、わざわざ言わなきゃBL風の作品だって気が付かずに読んでもらえるかも』って感じだったけど、この映画見て『男同士の擬似恋愛じゃん!』って気が付かない人は居ないと思う。
かおり

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