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カラオケ行こ!のokomeのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
4.7
・紅だーーーー!って叫ぶ綾野剛が5回くらい観れる(X JAPANの紅)
・なんかX JAPANの紅を混声合唱の歌い方で歌う綾野剛も観れる
・歌ってない時の綾野剛は喋り方がねっとりしてるしなんか距離感が近いし耳もとで囁いてきそうな感じの喋り方でこいつにハマったらあかんやろ!って感じの男!!ってのをやってきてる ダメです
・綾野剛のヘドバンが観れる
・X JAPANの紅でカラオケ画面で歌詞テロップが出てないのに「ハイハイハイ!」って合いの手を自分で入れて「紅だーーーー!」ってシャウトしてる綾野剛
・裏声がキモいって言われる綾野剛
・キモいって言われるまで自分の歌声を美声だと思い込んでた綾野剛

あまりにも綾野剛が愉快な映画で、映画館じゃなかったらゲラゲラ声に出して笑ってたと思うし、映画館で観てた隣のお姉さんはわりとマジで笑ってた


気がついたら2回目鑑賞してしまいました。
↓追記です↓


▼△▼△ここから真面目な感想(人によってはネタバレ含むかもしれない)▲▽▲▽▲▽

・部活パートとカラオケパートあるいは自宅パートなど場面の切り替えがあるが、切り替えの編集点?接点?が見事すぎる。
<例>
①音叉でラーの音を出しながらそれにハモる綾野剛の姿の回想→合唱(部活)のラーでハモリを練習するメンバー
②合唱部の発表を始めるときの司会の「これから四部混声合唱です、曲名は……」からのXJAPAN『紅』の合いの手(合いの手?)「紅だーー!!!」への繋ぎ。
など、接点のある切り替えをしてるところがあり、「オオッ!」となる。すごい演出?がいいと思う。

・合唱曲の歌詞がストーリー上のキャラクターの心情に沿ったものになっているので、合唱曲の歌詞に注目すると楽しい。(バリアフリー字幕上映がお勧め)
<例>
愛とはなんなのか? それを疑問に思った15歳、同級生に「愛は与えるものらしい」と聞く。その日家で母親が自分の夕餉の焼き鮭の皮を剥がし、旦那の茶碗に乗せる。それを見思春期の少年は悟る。
「愛をすることそれがどんなことか分かりかけてきた」(心の瞳/坂本九)と翌日の部活でも歌う。合唱曲の歌詞とリンクしてる。
(すごいいいシーンみたいに文章を整えてみるけど、映像としてはご飯にのせられた鮭の皮が神々しく輝くカットがたっぷり間をとって映し出されてから心の瞳が流れ出すので、映像としてはだいぶシュール)

・小ネタの回収がすごい。散りばめた小ネタの回収がすごい。
①最初に渡した名刺→唯一残した"マボロシ"ではないことの証左
②マジックで書き散らした音叉→綾野剛だと示す指標
③俺の行く場所はどうせ地獄→地獄へ行っちまった
④嫌いなものを刺青してくるなら好きなものを嫌い嫌いと言えばいい、まんじゅうこわい作戦→最後の腕のカット、増えた刺青。

・セリフが一つしかないお父さん
 お守り渡した時くらいしかセリフ言ってなくない? なんでそれであの存在感?
 カラフルなものが好きなのか?鶴の傘、亀の傘、げんきのおまもり。

・岡くんの部屋のインテリア
 宇宙好きすぎない? 宇宙にまつわるインテリアが多い。そんな岡くんに怖い思いをさせた例の人を綾野剛(狂児)は「宇宙人」と呼ぶ。この対比よ……。

・栗山くんの存在感
 謎の栗山くん。合唱部、カラオケとはまた違ったパートを担うが岡くんにとってはきっと必要な時間で、大事な時間でもあった。栗山くんとの会話が岡くんにいろんなひらめき/さとりを与えている気がする。そんな栗山くんはサンタをしんじてる……らしい。映画の趣味がちょっと気になる。映画の題材に意味があったのかどうなのか。
 「見てきたビデオぜんぶ巻き戻したよ」このセリフに重ねて「LINEも通じなくなった」と関係性を伝える岡くん。最初のまっさらな状態に戻ったことを暗示するかのような対照。

・森本先生
 粗忽者で無骨。「愛やで!」の森本せんせい。産休代理? 愛! 愛! とやたら愛に拘ってる。結局のところ歌は愛が第一なのだと言いたい? それがラストの岡くんの歌に繋がってる? 『愛のない一人舞台』は寂しいよね。

・紅の歌詞
 ラストで岡くんが歌い上げる紅。「一般的な男性が歌うのは難しい」と岡くんも言ってた高音域の曲を、「ボーイソプラノで歌えるのは合唱祭が最後でしょう」とまで言われた変声期の声、残されたソプラノで歌う。しかも奇しくも、合唱祭の日、その日に。
 岡くんには"鎮魂歌"を歌え、と組長は言っていたが、本当は"だれ"への鎮魂歌だったんだろうか。(ぶっちゃけ組長はそこまで考えてないと思うよ)(メタ的なお話です)
 岡くんは、狂児のことを思って『紅』を歌い上げたはず。だけれど、ほかにも"走り出したお前"はいたんじゃないか。
 こんなにも『紅』の歌詞が重く響いてくるストーリーある!? こんなにも『紅』が活きるムービーいままで見たことないよ!? 正直びっくりしちゃった。全ての道はローマに通ず、とはいうけどこの映画、「全てのカットは『紅』に通ず」とか言い出しても、「まあ、カラオケ行こ!やしな……」って思いかねない。おもしろい。(鋭い洞察力で間違った結論を導き出すのは特技です)(ハリポタ)

なんか思い出したらまた追記するかも。
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