とーるさんし

イコライザー THE FINALのとーるさんしのレビュー・感想・評価

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)
3.8
少年に背中を撃たれ重傷を負って始まる本作を、「ラスト・シューティスト」の主人公が生存していれば、というif物語として観るのはあまりに飛躍しすぎであろうか。

いや、しかしイタリアの田舎町で余生を過ごすこの風来坊は生憎ジョン・ウェインほどのユーモアは持ち合わせていないが、充分に西部劇的な意匠の下に描かれている。或いは任侠映画的でもあるだろう。

アクションシーンは一瞬のものが3つだけの小ぢんまりとした仕上がりだが、その小規模さが実に好ましい。町の高低差や狭い路地・階段も充分に活用できているとは思わないし、町人との交流はダイジェストになっており物足りない。警察官家族に夕食に招かれて親交を深めるくらいの場面がせめて有ってもいいと思うが、昨今予算規模が大きいだけのヘボアクション大作が乱発される中、こうした「小ささ」こそを積極的に支持すべきと思う。

そして撮影は前作「自由への道」から引き続きロバート・リチャードソンである。特に凄い撮影というわけではないが、2作ともフークアの衰えたクリエイティブを刺激する好ましい何かが画面上にも表れているように感じなくもない。このタッグについては今後も続いていくことを期待したい。
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