近年のプロットが複雑化し、アクションのボリュームを過剰に増やしていく傾向にあるアクション映画の流れに逆らうような極めてシンプルな作品だが撮影が過去作と比べても一番素晴らしいので飽きることはない。ドラマパートにこそ力を入れた作りでマッコールがイタリアの街並みを歩くだけの場面にも余計なセリフを削ることで緊張感を宿らせているところが良い。「マイ・ボディガード」を意識したダコタのキャスティングと関係性の描き方も良かった。モニターやテレビの画面越しに何かを見る場面が多い所にもトニー・スコットへのオマージュを感じる。