江戸の人たちの口の悪さと心優しさ、また人間の滑稽さが魅力たっぷりに描かれている。
丹下左膳の、剣は強いが女子どもに弱いところ、口は悪いが心根は優しいところが魅力的。
風貌と相俟ったキャラクターは本当に個性的で、人気があったのにはユニークさや優しさなどがあるのだろうが、この見た目とのギャップもあるのだろう。
"矢場"の女主人お藤も同じ。口が悪く冷たい感じもしたが、江戸を生きる女の強さとともに、人間的な魅力も感じた。
丹下左膳とお藤の口喧嘩の後、その結果がどうなったかをその後の情景を映し出すことで観る人に類推させる。その手法により可笑しさが倍増する。
山中監督にはもっと多くの作品を世に出してほしかった。