EDDIE

GOのEDDIEのレビュー・感想・評価

GO(2001年製作の映画)
4.4
俺はここにいる!自分の存在意義を確かめる上で人生で観ておきたい邦画傑作の一つ。青春時代の苦悩と自由への羨望、恋や恋愛を通じて感じるこそばゆさ。人間の五感あらゆる部分を刺激してくるこれだけの作品はなかなかない!

2001年公開の本作は私も青春時代真っ只中。ただ改めて観ると傑作であるという感想は変わらないのですが、感じ方は大きく変わりました。
おそらく当時はそんな深いことも考えてなかったので、窪塚洋介と柴咲コウの甘酸っぱい恋愛映画として2人の初々しさや柴咲コウの可愛さに翻弄されていい映画だと感じていたんだと思います。
私は日本の女優で柴咲コウが一番好みで彼女の全盛期が青春時代ど真ん中だったこともあり、相変わらず彼女の可愛さは堪能させていただきました。

ただ今回はそれ以上に在日韓国人として「自分は一体何者なのか」と葛藤しながらも迷いを払拭していく窪塚演じる主人公・杉原の歩みにとても感情移入してしまいました。
杉原と柴咲コウ演じる桜井の関係の変化、杉原と父との関係、杉原と親友ジョンイルの関係、杉原という在日の高校生が様々な人間との関わり合いで、この先どこに向かっていくのかという人生譚。
作中でも再三語られる「これは僕の恋愛についての映画だ」とあるが、恋愛以上に人と人の関わり合いで人の人生って大きく変わっていくんだと作品の発するテーマ性の深さを感じざるを得ませんでした。

父を演じる山崎努も凄く難しい役どころだったと思いますが、さすがの貫禄と表現力。めちゃくちゃ強面の頑固オヤジだという第一印象とは裏腹に、大竹しのぶ演じる妻には尻に敷かれながらも愛情表現も欠かさない。息子とはいつもぶつかり合って険悪かと思いきや、実は本音でぶつかり合える師弟のような温かい関係。元ボクサーのランカーという設定も相まって、終盤の息子との本気のぶつかり合いのシーンは心熱く昂りました。

だけど個人的に好きだったのは2つ。
1つは杉原と親友・ジョンイルの関係性。腕っぷしが強くて喧嘩に明け暮れている学校でも注目の的の杉原とは対照的に、ジョンイルは朝鮮学校きっての秀才で目立つような存在ではありません。さらには落語にも精通しており、杉原の文学もとい落語好きは彼の影響が大きく反映されています。2人が焼肉を焼きながら、女性店員と3人で談笑するシーンは大好き。しかもそんな親友のことを「こんなカッコいい奴いないっすよ!」って恥ずかしげもなく言える杉原がマジでかっこいいなと。
もう1つは杉原と萩原聖人演じる警官のワンシーン。遅い時間に出歩いている杉原に自販機で飲み物を買うお金を借りようとする警官。その上職質されて杉原はとんでもないカウンターを仕掛けるわけですが、その後の2人のやり取りがとても好き。何気ないワンシーンですが、本作の中で一番好きなシーンかもしれません。

他にもいま大活躍する俳優や議員さん笑も出ていたりと見どころは満載。
俳優名だけ挙げていくと、山本太郎、前述した萩原聖人、新井浩文、温水洋一、津田寛治、田中要次、水川あさみ、田中哲司、皆川猿時、さらには大杉漣まで。

正直人生で一度観ておきたい作品の一つです。未鑑賞の方には是非ともオススメしたいです。
EDDIE

EDDIE