あかの

夜、鳥たちが啼くのあかののレビュー・感想・評価

夜、鳥たちが啼く(2022年製作の映画)
3.6
完成披露試写会にて鑑賞。
中盤、未だ嘗てこんなにも愛せない山田裕貴があっただろうかと思ったシーンがある。踏切でのシーンだ。文子が心底蔑んだ表情を見せる中、スクリーンの前で私も同じ表情を浮かべていた。それ程に真に迫る見苦しいどうしようも無さの表現。
濡れ場も、容姿の整った2人でありながら、決して綺麗に撮ろうという意図は感じなかった。エロいというよりも、艶っぽいというよりも、生々しい、そう言い表すのが個人的には1番しっくりとくる。リアルな熱を感じる生々しさ。
この作品、アキラとの微妙な距離感の変化が、1つの答えのように思った。海に行ったときには優しい慎一くんでありながらもどこか遠慮のようなものが漂っていたが、花火の際にはその空気は既に消えていた。その変化は他者の幸不幸の物差しで否定をできるものではない。
少しずつ変わっていく3人の関係性、それを見事な匙加減で表現をし切った、山田裕貴、松本まりか両名は元より、子役の森優理斗、素晴らしい演技だったとしか言いようが無い。
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