MasaichiYaguchi

サハラのカフェのマリカのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

サハラのカフェのマリカ(2019年製作の映画)
3.8
サハラ砂漠で小さなカフェを営む年老いた女性と、そこを訪れる人たちの姿を捉えたドキュメンタリーを観ていると、アメリカ西部の砂漠に佇む寂れたモーテル兼カフェ集う人々の交流を描いたヒューマンドラマ「バグダッド・カフェ」を思い出す。
本作に登場するカフェは、或る意味、アルジェリアで誕生した21世紀の「バグダッド・カフェ」と言えるかもしれない。
トラック運転手や旅人たち、ヨーロッパのバックパッカーら、乾いた大地を行き交う人たちが次々とマリカの店を訪れ、彼女はそんな彼らと他愛のない会話を交わしながら日々を過ごす。
人々はコーヒーを飲みながら、国について、人生について、家族について様々なことを初対面のマリカに打ち明けていく。
映画を観れば分かるが、マリカのカフェは看板も何もなく、建物がポツンとあるだけで、だからマリカのカフェに来るのは、その国道を実際に走っている人や、ちょっと道に迷ってしまった人など、国道が何らかの切っ掛けになった人々だ。
だからこそ、マリカのカフェには行き交う人々の人生が非常に詰まっていて、それがマリカとの遣り取りや佇まいから伝わってくるような気がする。