ゆずきよ

レジェンド&バタフライのゆずきよのレビュー・感想・評価

レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)
2.2
岐阜に人が集まり過ぎたというニュースでお馴染みの映画。
戦国武将で知名度ナンバーワンのレジェンド織田信長と、マムシの娘という不名誉な二つ名を持つ帰蝶こと濃姫のお話。

物語としては、織田信長と濃姫の出会いから結婚、その生涯を描くという内容。
開始5分で歴史物を観ているのでは無いと覚悟を決める。
大河と比べる気はさらさら無いし、大河も良し悪しがあるけれど、時代背景に疑問を抱いたままでは観続けられないと、早々に気持ちを切り替えた。
前半は、新しい形の信長像というか、濃姫の尻に敷かれる形がなんとも悪く無い。
主演のお二人もそうだが、脇を固める役者が良い味を出している。
まさかの殺陣が戦場では無い所では面食らったが、より驚くのはこの後だった。
中盤で30分見逃したかな?というくらい急に信長が信長になる。
これじゃ「どうする家康」じゃなくて「どうした信長」だよ。
徐々に壊れていったり、何かきっかけがあるのならわかるけども、あまりに急な意思変更にそりゃ綾瀬はるかでも困惑する。
そこからの信長の苦悩は良かった。
前半にあるように今回の信長は、元来思いやりがあって、無理に酒飲む気弱な男だから。
それで身内に当たってしまうってのも、より非道に祭り上げられるのもなるべくしてかな。
そこで二度目の急な心情変化。「なんでよ光秀」
ラストに関しては、えっそんな展開…と思わせてからのそんなわけ無いよなで良い終わり方だったかと。

全体的に歴史物としてはちょっと気になる点が多かったです。
合戦シーンがなんか暴走族の抗争にしか見えなかったり、良いシーンがどう見ても公園のベンチだったり、途中から現代にタイムスリップしてる?という錯覚を起こしそうになる瞬間もありました。
ただ歴史上の人物をモチーフに恋愛模様、夫婦愛という切り口というか、そういう映画として観れば面白い。
途中タイタニック挟んだりもしたけれど、最後まで飽きずに観ることは出来ました。
映像としても美しく、刹那的でも有り、特に長篠の合戦後のシーンは、そこだけ観ても価値があるくらい良いです。
一番気になったのは、登場人物の心情変化が急過ぎた事。人間関係に主軸を置くのならそこをもう少し丁寧に描いても良かったのかなぁなんて思います。
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