ノラネコの呑んで観るシネマ

金の国 水の国のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

金の国 水の国(2023年製作の映画)
4.4
100年間国境を閉ざし、いがみ合う二つの国に住む男女が、ひょんなことから偽装結婚。
やがて二人は、両国の運命を変えてゆく。
ビジュアルのタッチを含めて、原作漫画のほんわかとしたムードを、実にうまく映像化した。
基本的には忠実な作りだが、映画になった時に問題になりそうなリアリティライン、例えば交流がない設定なのに、原作では簡単に越えられちゃう国境には、巨大な壁が建設されているなど、丁寧に手を入れいている。
もっとも、いい意味で緩い原作のタッチは映画でも踏襲されていて、ちょいポチャ体型というなかなか日本のアニメーション映画には出てこないタイプのヒロインと、適度にくだけた好青年の主役コンビは愛らしく、異世界ファンタジーとしては限りなく日常系。
一応、宮廷の陰謀劇でもあるのだが、その辺はそこまで重要じゃない。
マッドハウスが制作したアニメーションは緻密に作られていて、浜辺美波と賀来賢人も個人的にはイメージ通り。
ヒロインのキャラクターデザインの様に、とんがった部分が無い、いろんな意味で異色の作品だが、たまにはこんなほっこり系もいいじゃないかと思う。