ノラネコの呑んで観るシネマさんの映画レビュー・感想・評価

ノラネコの呑んで観るシネマ

ノラネコの呑んで観るシネマ

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

4.5

この話は知らなかった。
1858年の教皇領ボローニャ。
ユダヤ人家族の6歳の息子が、カソリック教会によって連れ去られる。
一家の使用人が勝手に息子に洗礼を授けたため彼はカソリック教徒であり、ユダヤ人の
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

4.7

期待通りの少年漫画的怪獣プロレスだった!
いわば怪獣映画Xヤンキー映画だw
主役はコング、ゴジラは時にどつき合い、時に共闘する最強ライバル。
人間ドラマはほぼ無いに等しく、コングとモナークの地底探検
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死刑台のメロディ(1971年製作の映画)

4.5

1920年の米国。
強盗殺人事件の容疑者として、イタリア移民のアナーキスト二人が捕まり、死刑判決を受けた「サッコ=バンゼッティ事件」を描く裁判劇。
ジュリアーノ・モンタルド監督の71年の作品だが、観た
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劇場版ブルーロック –EPISODE 凪(2024年製作の映画)

3.7

本来の主役では無い冷めた天才肌キャラクターを主人公に、スポーツの熱狂を知るまでのスピンオフの物語としてるのは「ハイキュー」と同じ方法論。
ドラマ映画と言うよりも、試合を見てる感覚なのも同じ。
まあこっ
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あまろっく(2024年製作の映画)

4.4

これはなかなかに素敵な人情喜劇。
リストラさえれて尼崎の実家に戻った江口のりこの前に、オヤジの鶴瓶師匠が再婚相手としてハタチの中条あやみを連れて来る。
尼崎出身の中村和宏監督をはじめ、脚本家も出演者も
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陰陽師0(2024年製作の映画)

4.3

久しぶりの佐藤嗣麻子は、ラノベちっくな平安幻想ファンタジー。
山崎賢人演じる若き日の安倍晴明ホームズが、染谷将太の源博雅ワトソンと、陰陽寮で起こった殺人事件の謎に挑む。
そう言えば同じ夢枕獏原作の「空
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クラメルカガリ(2024年製作の映画)

4.1

世界観を「クラユカバ」とシェアする、塚原重義のもう一本。
こちらはハコ庭と呼ばれる坑道の街で、無限に広がる地下世界の地図を作って売る、地図屋の少女が主人公。
「クラユカバ」と違って主人公が巻き込まれ形
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クラユカバ(2023年製作の映画)

4.3

アニメーション作家の塚原重義のオリジナル作品。
3年前にパイロット版を観て楽しみにしていたが、本編がついに完成。
主人公の探偵が、集団失踪事件の謎を追いかける。
物語というよりも世界観を楽しむ映画で、
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名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

4.3

ある日本刀の、盗難から始まるミステリ。
土方歳三に五稜郭、暗号にお宝争奪戦と、なぜかゴールデンカムイに被せて来てる理由は謎だが、映画は面白い。
今回は、いつものド派手な破壊スペクタクルとはちょっと毛色
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プリシラ(2023年製作の映画)

4.3

14歳でエルヴィス・プレスリーと出会い、後に妻となるプリシラ・ボーリューの物語。
コレはバズ・ラーマン監督の「エルヴィス」に対する、女性目線のアンサームービーの様な作りで、あの映画を観ているとより面白
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貴公子(2023年製作の映画)

4.3

パク・フンジョンの新作ノワール。
フィリピンで暮らす混血児(コピノ)のマルコの元に、突然韓国人の父の代理人が現れ、韓国に来いという。
訳の分からぬうちに、韓国行きの飛行機に乗せられると、今度は作り笑顔
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.6

かつてプロレス界を席巻した、フォン・エリック一家の物語。
プロレスブームの時代に育ったので、彼らのことは当然知ってる。
オヤジの鉄の爪フリッツ・フォン・エリックと、最強の息子たち。
しかしその栄光の裏
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

4.3

クリストファー・ノーランのデビュー作。
スクリーンでは初見。
作家志望の男が、他人を尾行することを繰り返してるうちに、泥棒が趣味の男と知り合い、予想もしないドツボのスパイラルに巻き込まれてゆくノワール
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オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)

4.4

悪魔の子ダミアンが生まれるまでの物語って、母親の墓を暴いてみたら人間じゃなくて山犬だったはずで、どうやって話を作ってるのかと思ったが、これが実によく出来たプリクエル。
舞台となるのは左派の抗議活動が続
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.5

ソウルに暮らす12歳のナヨンとヘソンは、お互いが初恋の人。
だがナヨンは家族と共に、カナダに移民してしまう。
12年後、二人はSNSで繋がるが、再会には踏み切れない。
そして24年後、劇作家となり結婚
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毒娘(2024年製作の映画)

3.6

ある家に引っ越してきた訳ありの一家が、神出鬼没の超バイオレントな赤い服の少女“ちーちゃん”に悩まされる。
一家の両親は再婚で、才能ある服飾デザイナーの妻は仕事の再開を夫から反対されている。
夫の連れ子
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

4.3

とある国のリゾート。
インスピレーションを求めてやって来た、売れない作家のアレクサンダー・スカルスガルドが、轢き逃げ事件を起こし、死刑を宣告される。
ところがこの国では、外国人は金さえ払えばクローンを
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RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)

4.5

刑務所から大ヒットを飛ばしたドイツのラッパー、カター(ヤバい奴)の伝記。
この人の人生が面白過ぎ。
両親は裕福なクルド系イラン人で、革命で弾圧され反体制派に。
戦場で生まれ、物心ついた場所は刑務所。
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ラブリセット 30日後、離婚します(2023年製作の映画)

4.4

いや〜笑った。
これはアイディア賞だ。
大恋愛の末に結婚した、弁護士のキム・ハヌルと映画プロデューサーのチョン・ソミンの夫婦が離婚することになり、30日間の猶予期間が設定される。
ところが直後に二人と
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ザ・エクスチェンジ(2022年製作の映画)

4.0

2014年のドンパス地域。
ウクライナ軍に志願した息子が、分離派の兵士に捕まって身代金を要求されたので、外科医の父さんが頑張る。
ウクライナ製の戦争プロパガンダ映画だが、これがよく考えられている。
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静かに燃えて(2022年製作の映画)

3.9

タウンハウスに暮らす絵画教室の講師「容子」と、ひょんなことから同居する「由佳里」、そして大学生の「柊子」と弟の「悠輝」。
それぞれに言葉に出来ない恋の炎を静かに燃やす、二組の登場人物たちの物語。
小林
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

4.7

70年代以降のアメリカのカウンターカルチャーシーンを撮り続けた、写真家のナン・ゴールディンと、世界中に中毒性の高いオピロイド汚染を引き起こした製薬会社のオーナー一族との闘いを描く、ドキュメンタリー。>>続きを読む

恐怖の報酬(2024年製作の映画)

2.8

Netflix。
ジョルジュ・アルノーの小説、三度目の映画化。
油田火災を消火するために、訳ありのチームがニトログリセリンをトラックで運ぶ、という大筋は変わらない。
しかし同じ話を、どうやったらこんな
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ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

4.2

例によって、古代の邪神を封印された呪物から解き放ってしまい、凍結の危機を迎えたNYを守るため、バスターズの人たちが頑張る。
新旧のバスターズを揃えるためか、複数のプロットが同時進行し、なかなか話が進ま
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

5.0

とてつもない傑作。
映画はオッペンハイマーの保安許可が剥奪された1954年の聴聞会と、彼を陥れたストローズの商務長官指名に伴う1959年の議会公聴会、この二つの“裁判”を軸に、時系列を頻繁にシャッフル
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ペナルティループ(2024年製作の映画)

4.1

恋人の山下リオを殺された若葉竜也が、犯人の伊勢谷友介を自らの手で処刑する一日の、無限ループに閉じ込められる。
ループ物は数あれど、これはなかなか新しい。
普通のループ物だと、時間に閉じ込められるのは主
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コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー(2022年製作の映画)

4.5

妊娠中絶へのハードルが限りなく高かった60年代末を舞台に、女性たちの中絶を助ける実在した秘密の団体“ジェーン”を描く物語。
「キャロル」の脚本で知られるフィリス・ナジーの劇場用映画監督デビュー作だが、
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流転の地球 -太陽系脱出計画-(2023年製作の映画)

4.3

急速に膨張する太陽から逃れるため、巨大エンジン群によって地球そのものを宇宙船にしてしまおうという、劉慈欣原作の超豪快SF大作、日本では配信スルーの一作目に続く第二作。
もっとも物語の時系列的にはこっち
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青春ジャック止められるか、俺たちを2(2024年製作の映画)

4.5

若松孝二が作った映画館、シネマスコーレに集った人々の群像劇。
ぶっちゃけ、前作よりも遥かに面白い。
前作は主人公の吉積めぐみの人物像を、作り手自身も把握出来ていないのではと感じた。
全体が表層的に、“
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四月になれば彼女は(2024年製作の映画)

4.0

オマイら全員めんどくさい・・・・。
精神科医の佐藤健が、世界中を旅しながら手紙を送ってくる元カノの森七菜と、突然失踪した今カノの長澤まさみ、二人の女性の間で「愛を失わない方法」を求めて葛藤する。
シン
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.7

前編。
まだ半分だから断言は出来ないが、ほぼ確実に傑作。
ある日突然、巨大なUFOが現れ、東京上空に居座った世界の話。
藤子・F・不二雄の短編「いけにえ」の設定に「ドラえもん」のスパイスをかけ、「シン
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タイムマシン2024(2022年製作の映画)

3.5

未体験ゾーン。
両親が行方不明になっている少年が、偶然森に隠されていたタイムマシンに乗り込み、謎の少女と共に6500万年前の白亜紀に。
サスペンスを作り出すのが大隕石の衝突までのタイムリミットなのは、
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変な家(2024年製作の映画)

3.6

変な映画w
オカルト系YouTuberの間宮祥太朗が、奇妙な間取りの家を取り上げたところ、謎めいた女から情報を提供され調べはじめる。
Jホラーでお馴染みの呪われた家の話かと思ったら、ホラーでは全然な
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ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

4.3

Netflix。
アカデミー短編映画賞受賞作。
傲慢なベネやんが、ヨガの修行で超能力を得て、人生が変わる。
ダールの小説をウェス・アンダーソンが映画化してるんだけど、題材と作者の資質がピッタンコ。
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彼方に(2023年製作の映画)

4.5

Netflix。
アカデミー短編映画賞ノミネート。
エリートビジネスマンの主人公は、ある事件で最愛の妻子を亡くす。
立ち直れないまま、配車サービスのドライバーとして人々の一期一会の喜怒哀楽にふれる日々
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FLY!/フライ!(2023年製作の映画)

4.3

安全だけど退屈な、小さな池から出たことのないカモの一家が、南の楽園ジャマイカを目指して渡りにトライ。
しかし初めてゆえに、行く手を阻む危険なトラブルのオンパレード。
春休みに相応しい、笑えて感動のファ
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