賀来賢人と浜辺美波、めちゃくちゃ良い。
そして、この映画、誰も悪い人がいない。
誰も悪い人はいないのに、長い間、つまらぬことで諍が絶えず、常に一触即発の2つの国。
一時、停戦状態だったが、結局なし崩しで相手の気に入らないところを理由にすればあれよあれよとまた争う。
そこで、相手の姫に対し国で一番賢い男を、相手の王子に国で一番美しい姫を、という“停戦の証”を送り合い、諍いを棚上げにする、、、はずだった。
しかし、それすら無駄だとお互いを信じず、“違うモノ”を送りつける。
それを受け取った金の国の末端の末端の姫と、水の国のど田舎の青年が偶然出会い、この冷戦さながらの一触即発の国と国の鍔迫り合いに放り込まれ、放り込まれながら道を見つけ、愛を見つける物語。
皆が相手を忌み嫌う。正直、個人的に確固たる理由はないが、長年そうなってるから敵対している。
しかし、その裏側では、金の国の財源と水の国の豊かな水源が違いに喉から手が出るほど欲しい政治的背景がある。
積年の小競り合いでお互いが疲弊し合い、疲弊すればするほど相手の資源が必要になる。
何とか強引に攻め入ってでも手に入れようと画策する者もいれば、それを止めようとする者もいれば、それすら気付かず巻き込まれる者もいる。
初めはお互いに起きた“違うモノ”がバレると戦争になることを知り、その共通の目的の元、お互いの都合に合わせて調子を合わせて目の前の課題を乗り越える。
乗り越えながら、少しずつ惹かれ合う2人。
これが、めちゃくちゃ純粋で、正直で、萌える。
そしてこの2人が、自らの劣等感を乗り越え、勇気と知恵を出し、小さいことから周りを変えていく。
周りで適当に権力や現状に甘んじたり、それに屈していた人々が、その2人の気持ちに動かされ、小さな一歩を踏み出してみる。
その小さな1歩の積み重ねが、やがて大きな力となり、国を動かす。
争って手に入れるだけがすべてではない。
生まれ持った見た目や既に貼られたレッテルが全てではない。
勇気を持って踏み出すことの、緊張感と、達成感みたいなものがとてもエモーショナルな作品だった。
シンプルなストーリーラインだけど、メインの2人以外にもとてもわかりやすく印象的なキャラクターが揃ってて周りで支えるぬくもりと彼らの気持ちに共鳴して共に立ち向かおうとしてくれる強さがある。
そして、最後の最後までこの2人の純情な気持ちのやり取りにもう、、、うっとり。
彼の背中をいつもそっと押し続ける姫の献身的な姿や、彼の直向きな姿とそんな彼女へいたわりがこれ以上ない素敵で強い関係となる。
本当に絵本を読んでるような、お手本のように清らかな気持ちになれる映画。
F:1984
M:2261