ベンジャミンサムナー

金の国 水の国のベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

金の国 水の国(2023年製作の映画)
2.5
 とても寓話的でメインの男女もあえて垢抜けないデザインなのは良いんだけど、なんでも台詞で説明しすぎ。

 水が枯渇しそうなアルハミト国と貧しいバイカリ国。
 どちらにしてもそれぞれの国民がどのくらい困っているのかが視覚的な描写として提示されないので「両国の仲を取り持つ」という目的にそこまでノれない。
 例えば、アルハミトには水が枯渇して使えなくなった水路や壊れた動く歩道があるけど、それを画で見せてくれないからどのくらいアルハミトのインフラが衰退してるのかが視覚的に伝わってこない。

 サーラの見せ場である族長とワインの飲み比べする場面も一切映像で見せてくれない。
 省略するにしても、族長が飲み潰れてるところを1カットでも挿し込むべきでしょ。

 サーラがふくよかな女性であることも、キャラデザだけでなく描写として見せてほしい。
 最初に国境の壁に空いた穴を通る時に体がつっかえるとか。

 ナランバヤルが懐中時計を直すくだりや、サーラが「私が隠し通路を渡ると落ちてしまう」と言うくだりも、前フリとして機能してない。

 「画の美しさ」よりも、まずは「画で語ること」を追求してくれ。