昔山本昌平がインタビューでこの映画のことを傑作と語っていたので気になっていたが、ポルノ映画館で上映されると知って早速鑑賞。
当時のピンク映画のテイストを感じさせる日活ピンク路線第一弾の『女浮世風呂』に比べて、二作目の本作は江崎実生監督のシャープなカット割とエロ場面のショット、大森盛太郎によるジャジーな音楽がピンク映画とも数年後に開始される日活ロマンポルノとも違う文体となって奇妙な味わいを醸し出す珍品ポルノに。
当時のポルノの方針なのか直接男女が絡み合う場面がないものの、破けた服やそれでも抵抗する女性、ベットに投げ出された裸の女性のショットなど間接的な描写で何があったのかを示唆させる江崎&補佐役としてサポートする小川欽也演出が巧妙なのでエロ映画らしい雰囲気を増幅させる。そして後年悪役として活躍する藤木孝と山本昌平の悪い顔も暴力的なエロスを発散する。
ただ色事師の藤木と黒人と日本人のハーフの山本がある事件で警察に逮捕されるも何とか脱走して逃走していくうちに仲良くなるという『手錠のままの脱獄』みたいな展開はわかるとして、徐々に仲良くなるとかではなくいがみあううちドラマがあって凄く仲良くなったと思ったらまたギスギスした関係になるという安定していない関係性なのでどうこの二人に感情移入したらよいのかわからず戸惑ってしまう。終盤それまでのポルノ物語を放り出してブロマンスな関係になるのも唐突すぎて唖然。
でも惨めな状況に陥りながらもなおも逃走をあきらめない物悲しい二人の姿に『流血の抗争』などの日活ニューアクションのテイストが感じられてグッと来てしまった。結末を提示しないクールなラストも◎。そして主役二人に蹂躙され怒りを爆発させ凶行に走る花柳幻舟のクレイジーな熱演のインパクト。
60年代におけるピンク映画で活躍した役者陣の顔ぶれも見所。