YLxx

灼熱の魂 デジタル・リマスター版のYLxxのレビュー・感想・評価

4.7
怒りと悲しみばかりの世界だとしても無償の愛は存在すると信じたい

「1+1=2ではなくて1+1=1のことなんてあるか?」弟の表情とセリフの繰り返しと間が、母の過去を目の当たりにした姉と同化した観客におぞましい過去を強烈に付きつける。
母と姉の二つの時間軸を交差させる見せ方が極上。特に道の撮り方が素晴らしすぎて、同じカットが来ることで感傷的になるどころか憎悪が溢れ出ていて本当に恐ろしい。
基本的に雪と砂漠地帯で死を連想させるような乾燥した空気感なので、ジメっとしたプールのシーンは異質。受け入れられない事実を発見する場所でありながらも、その事実をどう受け止め生きていくのかも表す。2回目で気が付いたが赤子を河に捨てようとするシーン、二つの光が暗い水を照らしており、唯一この世界の救いを表しているのかなと。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ天才でしょ