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女経(じょきょう)のmamのネタバレレビュー・内容・結末

女経(じょきょう)(1960年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

名監督と大映の看板女優が彩る三者三様のオムニバス3話。
山本富士子のギャップに萌える第二話が好き。


第一話 「耳を噛みたがる女」 監督:増村保造
若尾文子 × 川口浩

だるま船(水上生活)での貧しい暮らしのため、ナイトクラブで働く紀美。
悪びれることなく嘘をつき、男を揚々と転がし、耳を噛んでは客を喜ばせている。

そんな紀美の本命は、苦労知らずで遊び人の会社社長のお坊ちゃん正巳。
将来のため株投資もするしっかり者の紀美は、正巳の会社の株をがっちり買い占めている。

早く結婚したい紀美は正巳に求婚、一夜を共にするも、翌朝には居なくなってしまう正巳。
実は今日、財閥の娘と結婚するのだと言うことを人から聞かされる。
紀美の気持ちの大きさに気が変わった正巳は、紀美と結婚しようと思い立ち求婚するも、
”あんなの嘘よ”と軽くあしらわれる。

紀美には初恋の相手に結婚間近で捨てられた過去あり、そんな思いを財閥のお嬢さんにさせたくなかったのだ。優しい...。

”あたしはだるま船育ちよ、失恋なんてへっちゃら”
”さ、兜町行かなくっちゃ”

切り替え早くて、たくましい〜!



第二話「物を高く売りつける女」 監督:市川崑
山本富士子 × 船越英二

仕事に行き詰まり失踪した作家が海辺で出会った、儚げで妖艶な未亡人の爪子。
彼女に惹かれた作家は、女が燃やしている亡き夫の手紙だという切れ端をポケットに忍ばせた。

翌日、別荘に招かれた作家は何故かお風呂をすすめられ女が背中を流しに入ってきた。
爪子は作家を誘惑し、売りに出される別荘を作家に買ってくれないかと頼む。家と同時に女も手に入るかもと考えた作家は契約し手付金を支払ったが、後のことは東京の不動産屋にお願いしてありますと置き手紙をし女は消えてしまう。

爪子は美貌を武器に企業と結託し、物を高く売りつけるブローカーだったのだ。

一変したかのように、東京の不動産屋でチャキチャキと強かに金勘定をする本来の爪子は別人のよう。
そんな中自宅に作家が訪ねてきて驚く爪子に、家は買値より高く売ったよという。
すっかり作家が気に入ってしまった爪子。

"あなたは高い買い物するわよ、私が売るものはいつも時価より少し高いの”
"何を売るつもり?" ”婚姻届、あなたと私の”

燃えかけた手紙の請求書で最初から怪しいと思っていたよ、とさすがの作家さん。
”良かった、しくじって!”

ラストが可愛すぎる〜♡



第三話「恋を忘れていた女」 監督:吉村公三郎
京マチ子 × 根上淳(ちょっとだけ)

強かでしっかり者のお三津は、先斗町や木屋町に何軒も店を持ち、亡き夫から相続した宿屋も修学旅行生用に展開し事業を拡大するやり手の女。金にシビアゆえ、亡き夫から預かっていた義妹の結婚資金も出し渋ったり、事故で寝込んでいる修学旅行生が宿に滞在しているのも良い気がしていなかった。

そんな中、芸妓時代の恋人だった兼光に再会し、ほだされそうになるお三津だが、兼光はお金を用立てて欲しいという。店に警察がやってきて兼光を連行、詐欺を起こしたのだという...。

元恋人の件で情や優しさを取り戻したお三津は、瀕死の修学旅行生の為に輸血を申し出たり、義妹にも気持ちよく結婚資金を出してやる。

そして忘れていた感情も取り戻し
”もう一度探してみようとおもてますねん、女のほんまの幸せちゅうもんを”

刑務所へ入った元恋人を待ってみようと思うのだった。

女優さん時代の市田ひろみを初めて見たかも。ヤマハも山葉エレクトーンだったのね。

2023-36 再見 GYAO!
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