るーと

Dr.コトー診療所のるーとのネタバレレビュー・内容・結末

Dr.コトー診療所(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

テーマがかなり重く、しかもセリフとしても具体的に描かれている。そんな中でもくすりと笑えるようなやりとりも散りばめられていて、見応えがあった。

ドラマを見ていたら、より多くの気づきがあるのだろうけれど、当時を知らない若者が見ても満足できる作品なのではないか。

人は、何か切迫した形で問題が起きない限り、本質にはメスを入れずにやり過ごしがちだと思うが、今作では、医療過疎という問題がコトー先生の病と災害時の対応が重なるタイミングに顕在化する。
島の人は厚意にすがり、コトー先生本人の意思(「構造的な問題」とパーソナリティが相まって、もはや責任感に近いものが意思と同化してしまっているかもしれない)であるとしても、その健康(と家族)は犠牲になっていて、島の人もコトー先生の健康を第一にしてほしいと望みながらもいざというときには結局頼るしかないという、やるせない現実。

トリアージもせず、全員を救うと言っていたコトー先生も倒れ、これが現実だと見せつけておきながら、奇跡でひっくり返して、手術も成功させて、子供も無事に産まれた。コトー先生は生きているのか、死んでしまったのか。より多くの救済が個人の犠牲の上に成り立つとしたら。

東京で育ってきた判斗先生の言動は度々重く響く。コトー先生の代わりに診療所を頼まれるシーン、心臓マッサージのシーン…

問題を乗り切って棚上げすると結局同じことの繰り返しになるのは百も承知の上で、エンタメとしては問題提起をして、解決策は考えていきましょうということなのかな。司法過疎も、医療ほど命には直結しないけど似たような問題ではあって、対症療法的に乗り切ってきているのが実情。

那美の車のナンバー、いくちゃんの誕生日だったのは見逃しませんでした。こういうの好きだわ。
いくちゃんと海人くん、2人とも原作ファンにも評価されているようだし、嬉しい限り。
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