ペコ

エゴイストのペコのレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
4.2
同性愛の話なのに、途中からその事を忘れてしまうほど“愛するとは何か”“愛とエゴの境界線とは”を考えることに没頭していました。誰かを愛するとき、誰かを想うとき。誰もがエゴイストになってしまうのかもしれない。
人と人との繋がりって人それぞれだと感じました。愛で繋がっていたり、言葉で繋がっていたり、体で繋がっていたり、お金で繋がっていたり…。そこには正解・不正解が無く曖昧なのが人間なのだろう。自分が良いと思ってしていたことも、相手からしたら苦痛で重荷になっていることもある。優しさが愛情が、いつのまにかエゴになってしまっている切なさが浩輔、龍太、龍太の母親の関係性から痛いほど伝わってきました。大切な人との時間って永遠じゃないのなら、愛でもエゴでもいいから、一緒に過ごす時間を大切にしなきゃいけない。居酒屋でのシーン、手をつなぐシーン、家で煮物を食べるシーン、小銭を拾うシーンなど、何気ないシーンから浩輔や龍太の感情が伝わってきて見事でした。
生々しいシーンもあるが、この映画には必要なシーン。年齢、性別、血縁関係なんて関係ない。「愛がわからない」と思っていても、ちゃんと相手にはエゴではない愛が多かれ少なかれ伝わっている。それがこの映画の答えなのかなと思いました。人が人を愛することの素晴らしさをこの映画に教えてもらいました。
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