たゆた

エゴイストのたゆたのレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
4.1
「僕の我儘だから」
劇中で何度も耳にしたセリフで、この映画を象徴するものだと思う。もし自分が主人公だったらと考えると、正直耐え切れる気がしない。自分のわがままが原因にして、自分を憎んで憎んで仕方ないと思う。だけど、人生はわがままの連続で、愛はわがままなのだろう。客感的に見たらそんなことしなくていいじゃん。に溢れてる。けど、そのわがままを相手のために通すことが愛なのだろう。いや、違うかもしれない。きっとそれも愛の一片でしかないんだろう。けれど、お母さんが言っていた通り、「相手が愛と思えば、それは愛」なのだ。正解なんかない。愛の形は無限大なんだ。主人公の愛の示し方は相手のためにわがままを通すことだった。それだけだ。


正直あまりにしんどかった。映画を見終わってしばらく経ったがいまだに錘を引きずっているような気分だ。映画の演出については、BGMが少なく、カメラワークからも、自分も第三者として、ずっとそばで立ち会っている気分になった。幸か不幸かそれでより一層感情移入してしまってしんどい気持ちにはなったが。僕は泣くことはできなかった。涙を流す段階を飛び越え、思考停止のところまで行ってしまった。

性的なシーンも多く、日常がとてもリアルに描かれていた。俳優陣の演技が凄まじくて、なかでも鈴木亮平さんはやはり恐ろしい俳優だなと思い知らされた。

できるならもう少し2人の幸せな日常が見たかった。もちろんこれも僕の我儘だ。
たゆた

たゆた