RyanMihawk

エゴイストのRyanMihawkのレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
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ほぼ満席のテアトル新宿 終映後は映画館中で爆泣き なにか作品を超える感動すらあった 驚いた

全身ブランドものでキメてサングラスをかけ田舎を闊歩する浩輔はめちゃくちゃかっこいい そのナルシズムは強烈だが確かにかっこいい かなりの憧れを感じた さすが鈴木亮平と思った 突如始まるカラオケの演出は集中が途切れてしまったのがなんか嫌だった
宮沢氷魚のキラキラの茶髪は今作でも仕事しまくりで感動的だった もしかして地毛なんだろうか??タワマンで太陽光を浴びて全身から光を放っていた 目の色素まで明るくてなにか天使そのものだった
ひと時代前の幸薄美少女ばりの雰囲気描写
そんな龍太はやっぱり天使みたいにあっけなくこの世を去ってしまい拍子抜けした 母親の対応も超淡白で、この映画なに?となったが映画のだいたいラスト30分で描かれる息子に先立たれた母親と息子の恋人であった男のちぐはぐな交流こそ、この映画の真髄!という感じで、まあ成る程なとはなったけどだったら映画前半でもっとやっとくべきことあったんじゃない?というのが率直な感想 いや、鈴木亮平も宮沢氷魚も美しかったけれども…
浩輔→龍太→母親に渡される金というのが映画の筋になっていて、最初に浩輔→龍太に渡されている金はふたりが恋人関係であるとしても、あるが故に発生する金銭で、それがある故にパパ活っぽさがどうしてもずっとあって、それが切ない
龍太亡き後に実家に帰った浩輔が父親に母親の病気のころの話を振ると返ってきた「出会っちゃったんだからしょうがない、やっていくしかないだろう」という返答には心打たれた 出会っちゃったんだからしょうがない、という 人間一人の力では太刀打ちできない、ただの偶然、たまたま出会っただけの“他人”の人生とは無関係でいられなくなるという重さ、が しょうがないという軽い感じのする言葉でまとめられる このちぐはぐさ!この世の幸いの極みですらある気がした とにかく感動した
龍太亡き後も浩輔→母親に渡される金銭は、矢張り浩輔も出会ってしまったからしょうがない、見て見ぬふりはできない、という動機で発生する金銭で大切な人間を失ってしまったふたりは金銭面だけでなく支え合っていて、そんな姿は涙を誘う
ただ単に同性婚可能な社会になれば浩輔と龍太の母の関係性に奇妙なことは何もないはずなのだ、というのはそれはその通りなのだが
私としては、惚れた男が死んだ後に自分がその男の位置にすっぽり収まってしまう、その男になってしまう というがすごく気になる 龍太にあげたはずの上着がまた自分のところに戻って来てしまうことの虚しさが、ひたすら泣ける 
幼くして母親を亡くした浩輔の、龍太の母親への献身、それも愛であると断言するホンには、同性愛の深淵がかすんで見えた気がし、感動した
常に望遠気味で動きまくるカメラはかなり嫌だった
翻ってエゴイストというタイトルは皮肉のつもりなのかもしれないけど、なんだか悲しいタイトルな気がする しかし、このタイトルの自己愛的な部分は切っても切れない感覚なのかもしれない それに、同性愛者の息子、その恋人と親の関係は、今のところやっぱり特別な関係であるように描かれていたと思うし、やっぱり特別なもののようにも思う それは原作まで読まないと本当のところは分からないと思った
RyanMihawk

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