通りすがりのいがぐり

エゴイストの通りすがりのいがぐりのネタバレレビュー・内容・結末

エゴイスト(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

愛とワガママを優しく包む

ふとしたきっかけで出会った2人。一方は蜜が溜まり続けているがもう一方は蜜が溜まらない。交流を重ねて体を重ねて苦難を歩み愛を育む。しかし今作は最近見受けられるようになってきた男性同士の恋愛映画の物語から逸脱し、ミクロの希望と苦汁を同時に味合わせにかかる。

恋愛描写を通じながら出す側出される側の"差"と善意というワガママを描きながらあらゆる"愛"を自然体に描き、たらればの効かない現実との向き合い方を優しく描きながら来るべき瞬間までの見えないカウントダウンも容赦なく見せつけてくる。一筋縄ではいかないのも、大きな社会で肩身が狭くなるのも、新しい愛を見つけるのも全てに痛みが伴う。だからこそ誰かが必要となったら遠慮なく必要としていい事を優しく教えてくれる。

当事者たちの視点で"愛"を描く新たな傑作であり大切にしていきたい映画がまた一つ増えた。この映画が伝えてくれた想いを大切に生きていきたい。