前半部の絡みの部分は、やはりちょっときつかった。ゲイについての偏見みたいなものは、かなりの程度解消できていると思っていたのだが、生身の肉の触れ合いはやはりまだまだ〈キモチワルサ〉が付きまとう。男女やレズの絡みは何の抵抗もなく見られる、いや気取りを捨てて言えば中高生男子の気分で見られるのにだ。いやはやわたしのLGBTQ＋の理解などとはせいぜいそんなものなのだと、やるせない気分になる。
この作品、ゲイの生態は大きなポイントなのだろうが、まあ自然な性愛行為の表現であって作者にとってはそれほど重要ではないのではないだろうか。今作のポイントは〈母性〉の復権、再確認では。〈毒親〉とか〈過剰な母性〉についての表現は世にたくさんあるが、〈母親の愛〉が溢れていたように思った。それも血のつながりではなく、遠い記憶だったりのイメージとしての母性に包み込んでくれるような温かさみたいな。
それとこの物語、裏に流れている悲惨な生活の割には悪い人が一人も出てこないのもいい。
観終わったのは夜中の1時ころ。穏やかな気分で眠りについた。
