Jun潤

イチケイのカラスのJun潤のレビュー・感想・評価

イチケイのカラス(2023年製作の映画)
3.2
2023.01.15

テレビシリーズ視聴作品。
最近のフジテレビは連ドラの劇場版制作に精力的ですね。
中身は置いといてもキャストやスケールはビッグになるので、テレビシリーズを見ていた作品ならどんどんやってくれという感じ。
例に漏れず今作もドラマよりもスケールを大きく豪華なキャストを抑えていそうで、お話的にも連ドラの時点で担保されているので、少し安心して鑑賞できそうです。

かつて東京地方裁判所で裁判官として共に働いていた入間みちおと坂間千鶴は、偶然にも岡山県の隣り合う市で、みちおは裁判官として、千鶴は他職経験から弁護士として現在は働いていた。
ひょんなことから再会するも、お互いに違う街、違う事件を担当していた。
みちおはイージス艦衝突事故の遺族による殺傷事件から、防衛大臣に歯向かい、千鶴は高齢ドライバーの事故の真相から巨大企業の隠蔽へと立ち向かう。
一見関係ないように見えた二つの事件はやがて一つに収束してゆく。

うーん、、フジテレビさんこれは劇場版制作が早かったのではないかい?
というか至る所に予算不足を感じてしまい、見切り発車で制作したのかな感が強め。

予告では国防の闇と大企業の隠蔽の二軸で展開するような感じでしたが、中身はほとんど対大企業の千鶴パートがメイン。
というかイージス艦やら国防やらで大層に見える事件を餌に見せておいて実態はそれほどでもないという悪い意味での裏切り。
そのためもあってか、中盤ほとんど防衛大臣はおろか関係している事件すらほぼ出てこない始末。

そのくせ二つの事件を交互に展開して、リンクしているように見せてくるものだから、どちらの描写も中途半端になってしまい、印象的な場面に至るまでの過程が不足して、目まぐるしいというか、頭が追いつかない展開が続いていた印象が強めです。
また、活かせるキャラが豊富にいながら、突然役割を持たせたり、途中からいなくなってしまったりと、なんだかもったいない感じがしました。

事件は二つとも題材的には良かったので、どちらかをスペシャルドラマにして、どちらかを劇場版としてもっとド派手にやれば良かったのになという感じ。
というかテレビシリーズでは、みちおと千鶴の凸凹コンビをメインに、他のメンバーとの捜査、裁判の裏側などを楽しむ作りになっていたのに、今作では裁判所外のドラマが主で、テレビシリーズの強みもいかせていなかった印象。

とはいえ、法律を扱うドラマで法律の限界や、それを超えて人々を助けるということはよく描けていたと思います。
また、地方創生から溢れて衰退していく自治体、一極集中の弊害、街単位の集団心理など、事件の全容自体には力強さがありました。
Jun潤

Jun潤