もるがな

映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)のもるがなのレビュー・感想・評価

3.3
映画ドラえもん、のび太と優生思想とでも言うべきテーマの攻めっぷりに驚いた。道具の大半が使えないというのは過去作にもあったが、本作はその縛りが強いのか弱いのか、そのことによるカタルシスやスペクタクルがあるのか?とイマイチ測りかねる部分があり、意外と道具出てこなかったな……という結論に落ち着いてしまった。

引っかかったのは最初に違和感を覚えたはずののび太がやけに理想郷の正しさに固執した部分で、周囲と比べて劣っているが故に縋ってしまったのは理解できるものの、どうにも脚本のために動いてる感がしないでもなく、全体的にどうにも浮ついていて定まらなかった印象がある。古沢良太脚本特有の伏線回収や綿密さも上手く機能したとは言い難い。最新型のネコ型ロボットも、バックボーンの描き方がやや弱く、そのわりには後半はかなりピックアップされており、一番必要だったはずの人間味をそんなに感じなかった。

最後の救済はわりと驚きで、F時代の過去作を見てきた身からするとどうにも甘く映ってしまうが、扱ったテーマそのものは実に現代らしく、しっかり世相を反映していたことを評価したい。
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    基本的には邦画アジア映画洋画アニメジャンル問わず、雑食気味にレビューしてます。以前見た作品の覚え書きをランダムに投稿するので時系列がバラバラなこともあります。