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そばかすのbluetokyoのレビュー・感想・評価

そばかす(2022年製作の映画)
4.0
自分も宇宙戦争が好きだ。レイ(トムクルーズ)が、まったく状況把握ができないまま、ばたばたと逃げるシーンが好きだ。なんか、蘇畑佳純さんと気が合いそうだな、なんて、見た人のなかでかなりの人が思ったりして。
冒頭の食事会(実は合コン)、また、キャンプのとき、ねえ、彼氏いるの、どんなのがタイプ、とか聞いてくるヤツ、まじ、うぜえええええ(宇宙人の容赦ない理不尽な侵略みたい!)。でも、最近は、そういうの、昔と比べて、なくなってきたんじゃあないかな。

ちょっと映画とは関係ないけど、今年、一番驚いた事実がある。
世に男性の草食化という現象がある。これって、最近のことではないのだ。なんと、人類が誕生したころから、草食化は始まっている。
草食化というのは、生体ではどういう現象かというと、テストテロンという男性ホルモンの減少、ということである。
テストテロンが多いと、目の上、眉のあたりが隆起する。たしかに原始人の男性は、そういう顔付きである。とすると、現代人ののっぺりした顔付からしても、原始人の頃から、相当に草食化が進行しているわけだ。

で、なんで、草食化しなければならないのか。

人類の歴史は、社会の肥大化、強大化、複雑化の歴史だ。
そんななかで、テストテロンが強かったらどういうことになるのだろう。

テストテロンというのは、なにかといえば、戦いたい、権力を持ちたい、支配したい、という欲望の源なのだ。だから、当然、人類にとって、あるいは、現代では、地球環境そのものにとって、大きなリスクになってしまう。個人の生活にとっても脅威になる。
大きな戦争が始まったら、本気で、人類は、間違いなく、全滅してしまうものね。

あと、ラベリングだ。蘇畑佳純さんが、世永真帆と一緒に住む、と聞いたとき、妹の篠原睦美が、わかった、それって、お姉ちゃんがレズビアンということね、などと訳知り顔で言ってしまう。
なんで、他人に分類されなきゃならんのだ、という話。

かなり以前は、たとえば、電話帳が分厚くて、電話を持っている人は、余程でない限り、住所を載せていたわけだ。いまは、そんなんで、住所を晒す人はいない。強大化した社会にあっては、危険なのは当然として、気味が悪い。

分類やジャッジを個人的にするのはいいけど、それを得意げに公にするのは、危険だし、アマゾンやグーグルみたいな、顧客分析みたいで、気分的に嫌なことだ。アマゾンで、広告が出ると、いつの間に調べたんかよと、不気味になる。ネット社会の恐ろしさだ。

こんな具合に、この映画は、現代の生きづらさをうまく表現していると思う。
走って逃げているときだけが、気分いいのかな。
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