姐

そばかすの姐のレビュー・感想・評価

そばかす(2022年製作の映画)
2.4
俳優はみんなすごく自然体で魅力的。三浦透子がマジでよかった。
ただ俳優陣の演技が素晴らしいからこそ、映画として終始何も解決していないし誰も救われていない感じが私はうーんと思ってしまった。

周囲の人との関係や社会の中で、主人公はどうなれれば彼女にとって救われたことになるんだろう。「『宇宙戦争』はトム・クルーズが唯一逃げるために走るから好き」だと語ってから、性的指向が同じ人と出会った後のラストシーンで作中に唯一走り出すあの主人公は、つまり周囲の理解から逃げたということになってしまわないの?同類に会えたことで得られる救いは、社会で生きていく解決策にはならないんじゃないの?
ラストの彼女の清々しい表情と、「走る」ことの意味がどうにもしっくり来なくてもやもやしている。

あとタイトルの「そばかす」は、蘇畑佳純(そばたかすみ)を縮めた以外の意味が何かあったんだろうか。なんでそばかすなんだ。

(社会的な)弱者の孤独や葛藤を描くための材料としてLGBTが選ばれるのは、なんだかすごく時勢の流れを感じた。多分これが10年前に作られていたら題材はいじめになって、50年前なら女になるんじゃないかなぁ、などと思ったり。あとはまぁ、LGBTに焦点を当てるとマイノリティ=弱者みたいな蛇足構図も付加されてしまう、ように私は見えちゃった。
姐