キットカットガール

バッドサンタのキットカットガールのレビュー・感想・評価

バッドサンタ(2003年製作の映画)
3.5
現状に満足していないと幸せそうに暮らしている人達にイライラするのが人間。「リア充爆破しろ」と私の友人はよく口にしていたけれど、その想いが年で1番強くなるのはクリスマスだと思う。人を劣等感で支配するほどクリスマスは私達に完璧さを求めてくる。仕事も友達も家庭もお金もある。目につく人達はみんな幸せそうで、そんな輩を見ているとアルコールに走る。それが本作の主人公ウィリー。酒、薬、女、犯罪。救いようがないほど退廃的な生活を送っているが、内心では良い人間になって、安定した暮らしを望んでいる。
そんな人生破滅しかけている大人が足掻いて、必死に人間らしく生きている姿に少し心を動かされた。破天荒すぎる生き方に初めは失笑ばかりだったけれど、いつの間にか応援していた。何処か共感してしまう現実的なキャラクターでクリスマスにはとても新鮮だった。

人から馬鹿にされる事よりも、自分自身を馬鹿にする事の方が問題なのだと学んだ。卑下したら駄目なんだなって、きちんと自尊心を保っていなきゃなと考えさせられた。他のクリスマス映画にはない現実味あるストーリーとメッセージに励まされた。人生は何度でも、いつからでもやり直せるのだと改めて思った。
また、何気にラストシーンに感動した。プレゼントの中身よりも、誰からもらって、どんな想いが込められているかが大切。シンプルで当たり前な事だけれど、1番忘れがち。
想像よりもまとまっていて本当に面白かった。家族揃って観られる作品ではなかったけれど、来年のクリスマスも観たい1作になった。

【印象に残った言葉】
「裸と油断が災いを呼ぶ」
「欲しいものとクソは紙一重」