冒頭に80年代に着想を得たフィクションとのテロップが入るが、物語の背景にあるのは光州事件で間違いない。韓国映画を追っている人間ならば概要程度は知識としてあるだろうが、劇中では一切説明がないので注意が必要だ。その上、冒頭からノンストップで物語が展開するため、はっきり言って誰が誰だかさっぱり分からず、序盤はかなり混乱した。しかしながらそう言ったマイナス要素などどうでも良いと思えるほどはちゃめちゃに面白い。圧倒的な密度と怒涛の勢いで進む物語に終始圧倒された。前半は二転三転するコンゲーム的な展開だが、やがて善悪の概念が存在しない修羅の世界へと観客を誘っていく。脚本が素晴らしいのは言わずもがなで、アクション、特に銃撃戦の迫力はハリウッドの一流映画と比較してもなんら遜色がないレベルだ。久々に韓国映画の底力を見せつけられた凄まじい映画体験だった。超絶大傑作。
