50年代のメロドラマの巨匠ダグラス・サークの世界観を現代に再現していて、当時のテクニカラーのような鮮やかな色合い、ドラマティックな音楽、完璧なファッションやインテリアなど、圧巻の作り込みです。
上流階級の主婦が、夫の秘密を目撃してからの破滅への道と、彼女の許されない恋。
絵に描いたような理想的な家庭が、少しずつ壊れていく。
当時では描けなかった人種差別や性差別の問題を絡めて、昔ではなく今の問題であることを見る者に突きつける。
あくまでも50年代のメロドラマなので、重すぎず過激すぎず面白かった。現代映画を見慣れていると物足りないのかも。
見応えがあるのは、映像の方。
あえて古典らしく映すカメラワークが見事で、ここまでこだわって撮っていなければ、おそらく陳腐になっていたと思う。
華やかなパーティの後、あえて暗闇で夫婦の亀裂を描くシーンの対比が素晴らしい。
主婦役を演じるジュリアン・ムーアの美しさと、いかにもピュアで世間知らずな主婦に見える演技がよかった。ちょっと太めだったのがより幸福感を醸し出していてハマってるなぁと思ったら、実は撮影時は妊娠中だったのだとか。
紅葉した赤く染まる木々に合わせたかのようなグリーンやワインレッドの衣装、ファッションを見ているだけでも眼福。
「楽園（エデン）より彼方に
永遠に輝く場所を見つめて」
自分に正直に生きようとする夫婦の物語でした。
