映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスティーンによる性暴力疑惑を追った二人の記者を描くドラマ
「金曜の仕事帰りに観るには重くて暗そう」とか思ってたけど、想像していたよりずっと優れた作品だった
こういう告発系ノンフィクション小説がベースだと説教臭くなったりとか、あと事実の羅列を映像化しただけみたいになりがちだと思う
でも本作は心理描写が絶妙で、結構サスペンス映画的な趣がある(多分、脚本家は書くのにすごい時間がかかったと思う)
微妙にテーマは違うけど、FOXのセクハラ告発映画『スキャンダル(Bombshell)』より全然見応えがあって、上映時間130分も気にならなかった
キャリー・マリガン演じる記者はトランプの性暴力を記事にして報じたのに、それでもトランプが大統領選で勝利し、加えて出産時期と重なってしまって産後うつになってしまうのが本作のスタート地点ていうのが壮絶
記者が『確実な情報源や資料を入手しなければならない』という前提のもと、数多くの情報提供者にコンタクトしなければならないのがめちゃくちゃハードそうで、尚且つ二人の記者が母親で育児も並行してやってるのがスーパーウーマンすぎてビビる
性被害という内容だけに皆も口を開きたがらないし、それが業界の権力者だったら当然嫌がられる
その辺の激務っぷりを丁寧に映像にしているから、観る側に説得力が増すんだと思う
ニューヨークで子育て中のゾーイ・カザンが「西海岸とイギリスまで行って証言得てこい」と鬼上司パトリシア・クラークソンにサラッと言われて絶句するシーンが印象的
とにかく体力も根気も必要な職業なんだね
ニューヨーク・タイムズ社内のロングショットなどは、分かりやすくパクラ『大統領の陰謀』へのオマージュ
ゾーイ・カザンがミラマックスの元財務?の人とレストランで会うシーンも、レッドフォードが地下駐車場で密会するのとダブる
白いワンピース被りで取材に行くシーンは阿佐ヶ谷姉妹(コメディエンヌ)の“宗教の勧誘に来た人”のモノマネをしてるやつっぽくて面白かった
☆
それにしてもワインスタインの性欲は訳がわからないね
わざわざ高額の口止め料を支払ってまでセクハラしたいのは謎すぎるし、妻子だっているのに
ほんでもって事実が明るみに出たらワインスタインと距離が近かった俳優や関係者までもバッシングされちゃうという(特にメリル・ストリープやジェニファー・ローレンス、マット・デイモン)
ブラピやコートニー・ラブ(意外...)みたいに楯突いた人も何人かはいたけれど...
あとケイト・ブランシェットやマドンナもワインスタインからの性被害を告白しててびっくり
“強い女”のイメージが強くて