Tatsu

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのTatsuのレビュー・感想・評価

4.0
テーマの重要性にフォーカスされがちだが、ここ最近のアメリカ映画でも演出において簡潔さとストイックさを意識させるような仕上がりで感心した。決して短い尺ではないが、最後まで画面を見せきっている。暴力描写や加害者、加害状況の直接的描写を避けたことは、勿論フラッシュバックへの配慮はあるのだろうが、そのことにより作劇、演出における簡潔さを獲得しており、映画作品として見応えもある。あくまで対象事象に対して誠実に向き合った作品が、カメラの動きや動的な絵作り、本的な巧妙さやショック描写とは別種の、抑制的で冷静な映画的強度を結果的に獲得している事実を、重く受け取るべき作り手や書き手は多いと思う。キャリー・マリガンがこんなに渋い役者になるとは10年前には思わなかった。
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