Reno

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのRenoのレビュー・感想・評価

3.8
確かにこの出来事がMeToo運動のきっかけを作ってくれたのは事実で、そんな非常に価値ある出来事を分かりやすくスピーディーに映画化しているんだけど、やっぱり指摘されてる通り、NY Times だって長年、罪を見過ごしてきたメディアの一部であり、尚且つNY Times自身も性的加害でとがめられていて、しかも主役である記者二人のうちの片方ミーガン・トゥーイーはこの件に関してはヒーローである反面、トランスジェンダーを苦しめる記事も出していて、それを思うと素晴らしい英雄物語というふうにスッキリ飲み込めないんだよね。

ウーマントーキングと同じくブラッド・ピット率いるプランB制作の映画で、ブラッドもプロデューサーに入ってるけど、そんな彼はDV疑惑がかけられていて、ハーヴェイ・ワインスタインとの交流も盛んだった過去があるみたいで、そこも気になっちゃうし。

こうして映画にしてくれたからこそ、あの出来事がより多くの人に伝わるっていう良さもあるんだけど、この映画はNY Times及びミーガン・トゥーイーを英雄のように見せるだけで、ミーガンや会社の現在進行形の悪い部分を知らせていないから、ミーガン達のプロパガンダのような効果も持ってしまいそうで、そこは嫌だなと。

ミーガン達がここで行った事は価値ある事で感謝すべき事なんだけど、それはそれとして彼女はトランスジェンダーの人々のことは守るべき対象と考えていない排他的・選民的な人である事も知っておいてほしい。

実際、日本でもアメリカのMeTooから何年も遅れて、去年あたりからようやく園子温監督やジャニー喜多川の罪をメディアが取り上げてくれるようになって、少しは流れが変わっているけれど、まだまだ先は長いと思うし、この映画を通して学んで、良い効果は良い効果で広まると良いなと思います。
Reno

Reno