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透明人間と蠅男のYSKのレビュー・感想・評価

透明人間と蠅男(1957年製作の映画)
3.0
常識では到底考えられない場所で起きる殺人事件が世間を騒がせる中、宇宙船開発研究所が物質を不可視化する光線を発明
若き刑事はその力を捜査に役立てたいと考えるが、連続殺人犯もまたその力に目をつけ…というお話

良く言えば牧歌的、悪く言えば大雑把であることは間違いない作品
かの有名な『ハエ男の恐怖』よりも1年早く公開された『蝿男』ですが、恐らく『ハエ男~』公開の報を受けた大映社員が『透明人間』シリーズに無理やり組み込んだのだろうと「勘のいいガキ」でなくとも気がつくことは当然ともいえるでしょう
なにせ「蝿男」といいつつただ米粒大に小さな男が空を飛ぶだけ、しかも空を飛ぶための理屈や背景が非常に曖昧なのですから仕方がありません、なぜ飛んでいるあいだ虫の羽音がするかも謎

逆に透明人間のほうは力が入っており、特に椅子に座ったときの座面のへこみがお気に入りなのか幾度も繰り返されるのが微笑ましく、宙に浮かんだバナナの皮がむかれる画はなかなかよかったように思います

ただ起承転結の転の部分で当時の国鉄、今の山手線を爆破したのはいいもののそこが盛り上がりのピーク
『透明人間vs蝿男』にも関わらず透明人間でも蝿男でもない姿で決着がつくのはどうしたものかと思いますが、まあそれもこの時代の良さのひとつなんでしょう、きっと
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