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ザ・クロッシングのmhのレビュー・感想・評価

ザ・クロッシング(2021年製作の映画)
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ポグロム(帝政ロシアで発生したユダヤ人虐殺)とホロコーストというヨーロッパにおけるユダヤ人の受難をモチーフにしたアーティスティックなアニメーション作品。
シオニズムとも密接に絡んでいるのでポグロムについてはどっかでちゃんと見ておきたかったのでちょうどよかったんだけど、作中はポグロムであるとかホロコーストであるとかの指摘はなく、まず民兵による虐殺があり、その後、人身売買や強制収容などがあったとのことになっていた。
監督自身のルーツをアニメーションにしているんだけど、このアニメというのがシャガールタッチで素晴らしいのだった。混色で色味が濁るのを恐れない大胆さが、このアニメ全体を成立させているような気もしてきて、試みと成果物ががっちり嚙み合っているという気持ち良さがあった。この感じを味わえただけでももとが取れている。
子孫である監督はイスラエルにいるのではなく、フランスというのがまた感慨深いね。
IMDBには感想が一件きりなんだけど、ポグロムの背景に日露戦争があるとの指摘があって少なからずショックを受けている。敗戦による不景気でポグロム。あわせてボルシェビキの台頭かな。歴史は複雑すぎんね。
面白かった。
mh

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