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遠い夜明けのmhのレビュー・感想・評価

遠い夜明け(1987年製作の映画)
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反アパルトヘイト活動家スティーブビゴの半生と、その伝記を出版したイギリスのジャーナリストが題材。
時代的にはマンデラさんがまだ捕まってない頃に作られた映画で、世界的な世論(アパルトヘイト反対)の形成にひと役買っている。歴史的意義も高い一本。
さすが「ガンジー」「コーラスライン」のあとのリチャード・アッテンボローで、最初から最後までずっと面白い。
俯瞰で見ると、最初からジャーナリストが主人公ではあるものの、まさかと思った人物を退場させることで、主人公が交代したかのような印象を与えている。主人公が主人公たるべき試練ともとれるし、作中人物から観客へとバトンが渡されたと錯覚するような作りにもなってる。この構成がほんとうまい。
手書きの原稿があたかも、SWシリーズにおけるデス・スターの設計図みたいにあつかわれているのもよかった。無償でみんなが協力してくれるのは、個人的に涙腺なのだった。
南アにある家を脱出するくだり、子どもたちのうち年長者には事情がわかっていて、幼い子はなにもわかってないのが強烈にエモかった。
黒人の使用人もそのあたりはわかってて、わかんないフリしてるのかと思ったら、ほんとわかってなくてずっこけた。なにこのプロットって思うんだけど、まさにこれが一事が万事。
映画全体は「白人の救世主もの」というジャンルに陥っていることも否めないのだった。黒人のことを下に見てることを隠してるけど漏れてるしそれが伝わってくるのだった。
ホロコーストはドイツ人視点で語るべきじゃないとクロード・ランズマンもいっていたように、アパルトヘイトに関することを白人側から語るのは適切でないきもするんだよねー。
アパルトヘイト政策が続いているなか、活動家の不審死を列挙するのが効果的だった。
アフリカーナーうんぬんの話はなかった。
面白かった。
mh

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