主人公(というか登場人物全員)に華がなさ過ぎて、始めは誰が誰なのか分からず戸惑ったけど、シンプルなストーリーなのですぐにノレました。
CGのド派手合成に慣れてしまったせいか、80年代香港映画に通じるような人力スタントのアクションには惹かれず、劇画チックながら意外に凝った、そのストーリーに惹かれました。
犯人を捕らえるために手段を選ばぬ刑事(犯人の1人を車のスピンで吹っ飛ばす…)、逃げる悪党が乳母車を避けてカークラッシュを起こすところなんか、どっちが善悪なのかが乱れてほんのちょっぴりだけ『フレンチ・コネクション』とかを思い出しました。
音楽も70年代イタリア映画独特の黒くないファンクサウンドで素晴らしい。特に廃材置き場みたいなところでの追っかけで流れるアイアン・バタフライまんまのベースラインを使った曲なんか最高でした。
キレイだけど頭悪そうな女が浅はかなことをして計画を台無しにする展開とか、今ではアウトなところもありますが、それや、なんだかスッキリしないラスト(最高!)とか、やはりマカロニウェスタンの流れを感じさせました。
あと監督がカメラマン出身なせいか、人物と背景をアラン・レネばりの凝った構図で撮ったり、ちょっと気持ち悪いくらい顔アップを多用したりするのも好きでした。