けん

宮松と山下のけんのレビュー・感想・評価

宮松と山下(2022年製作の映画)
3.3
監督・脚本 監督集団5月

すっかり露出が少なくなった香川照之が、テレビで観ていた暑苦しい顔芸とデカい声のセリフの真逆の演技を魅せるんだ。

作品全体的にセリフを極力削ぎ落としいる。いや、削ぎ落とし過ぎて心配になるくらいに削ぎ落としている。

セリフや音楽での説明を排除して、観る人に委ねてくる。

だから、演者は顔の表情の演技で圧倒的に魅せるしか無い訳なんだ。

絵もどっしりとした構図で、表情をじっくり見せてくるんだけど、香川も他の演者もしっかり心の機微を顔で表現してるんだ。

香川照之は静な演技で攻めまくっている。やっぱり味のあるいい役者だなぁ。

ラストシーンの、津田寛治と中越典子の掛け合い。サッカースペイン代表のワンタッチパスのように華麗な短いセリフ回しは、ハッとさせられたわ。

5月は、ピタゴラスイッチとかだんご3兄弟で有名な佐藤雅彦を中心とした監督集団なんだ。だからなのか、計算されつくした作品という印象を受けたよ。次も作品あるのかな?期待しちゃうな。

ここまで静かな映画は、僕は家で配信で観るとすぐスマホいじっちゃったりするから、映画館でじっくり観ることができて良かったと思うんだな。

もし僕が記憶喪失になったら、赤マルを吸うことを薦めて欲しいよ。
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