東亞重工

宮松と山下の東亞重工のレビュー・感想・評価

宮松と山下(2022年製作の映画)
3.0
香川照之さんのモブの演じ方が凄い映画。
所作、歩き方、表情、そのどれもが普通のようでいて
どこかおかしい。
活気が全くないのだ。

記憶をなくした主人公はエキストラ役者の仕事を
しながら生活している。
さも自分というものが確立できていないから何かを演じる仕事をしているようにも見える。

でも、そうではなかった。

エキストラを選択したのは山下という一人の人間の
最も色濃い背景の元があったからなのだ。

香川照之さんの記憶喪失前と後での演技は絶妙だったと思う。
度を超えての別人にはせずなんか違うなー位の表現で
見る者に微かに残る程度の印象値だけを残し
この映画の雰囲気をちゃんと維持し続けた。

さっきまで雨が降っていて止んだけどまだ
どんより曇っていていつ降るか分からない...
なにか起こりそうで起きない...
何もなさそうでそんなことも無い...
なんとも哲学のような映画で好きでした。
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