なんと凄まじきミア・ゴス。
『X』の前日譚があると聞いたとき、あまりよくないんじゃないかという思いがあった。パールの神秘性を毀損してしまうんじゃないかと。
そんな心配は杞憂であった。
制作陣は見事に『パール』を語り、ミア・ゴスは完璧にパールを演じた（もはや演技なのかもわからない。）
スタッフロールを含めた映画の全てが作品中当時のタッチで演出され、今の時代ではむしろ新鮮なオシャレさがある。
絶望と抑圧により歪んでしまう映画はいくつかあるが、演じたミア・ゴスが圧倒的なものに昇華させている。（母親役のタンディ・ライトも名演。）
とにかく画面のパールから目が離せない。常に放たれるサイコ、エロス、狂気、艶かしさ。
美しい頭身と整った顔に見える瞬間もあれば、とてつもなく田舎っぽい娘に見えるときもある。
劇中で見せる狂気にも納得してしまう。
終盤のワンカットには息を呑むばかり。入り込んでいくパールに引きづられてしまった。
最後に、母親の忠告に収束していく構成も見事。
A24最高の作品かもしれない。
