まおうのまおちゃん

Pearl パールのまおうのまおちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

Pearl パール(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

全てのホラー映画よこうあれ!
脱がない!消費されない女サイコー!
入浴シーンに乳首や尻が映らないことも良かった。

母と娘のフェミニズムを感じる作品だった。作中パールは何度も「私が怖い?」と聞く「サイコパス」のように書かれているけど、パール然りその母親然り、家父長制のために全てを捨てた生活を強いられたら、サイコパスになるのは考えなくてもわかると思う。
パールは自分を虐げた母や、父を殺すという、一線を軽々飛び越えたけど、飛び越えないだけでパールのような女の人は令和のこの時代にも沢山いる。

劇中に、父にはあまり言及されてなかったけど、いくら障害がある父だとはいえ、あの歳の女が一緒に風呂に入るのは完全に過去近親相姦があっただろ…と思わざるを得ないな。
諸悪の根源は父。

技師の男と寝た後に、夢見る女性だったパールが、殺した母と同様「あるものを大切にする」と言い始めるのも、インターコースによって女の自己を破壊されたから、個人の人間としての夢を見れなくなったのだと思って切なくなってしまったな。

ミアゴスの魅力がたっぷり詰まった作品でありながら、フェミニズムの観点を捨てない映画として本当に良かった。

田舎の女と自分で自分を卑下しながら、夢見る力がこれだけ強い女が、技師や、ダブルバインドな母親や、諸悪の根源の何もしない父親、いろんなものに邪魔されなかったら、どれだけ成功しただろうか、と考えてしまう切ない映画だった。

ファンタジーのようでありながら現代の親子(母娘)関係、その問題である透明化された父親を炙り出すいい作品でした。
もっと作品の理解を深めたい人は
田嶋陽子 愛という名の支配
上野千鶴子 上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!
を読むといいと思います。

A24、タイウェスト、ミアゴスサイコー😭