秀逸。アトラクション型のホラーだった『X』を見向きもせず、ひたすらパールという人間がモンスター化していくまでを描く。単体でも十分完成されている作品ではあるが『X』の前日譚であることが肝で、前作での殺人鬼っぷりを見ているからこそ、序盤のパールが夢を見れば見るほど観客は絶望に陥れられる構造が見事。義理の妹に放った台詞が『X』に繋がっていたりもする。
母親に火が付いてから、やたらと人の感情を読み取れるようになるパールの人間的な怖さも描かれている。農場生まれ、父親は病気、オーディションで求められているのはアメリカ的なブロンドの娘。絶望がひっくり返せなさそうだからこそ悪魔的な怖さが目立つし、パールに感情移入もしたくなる。
