ふかい

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいのふかいのレビュー・感想・評価

4.3
日本における「目に見えない生きづらさ」がこの映画には全て詰まっている。アクティビズムに対する諦め。自分が枠に収まれるかもしれないという高揚感と、その枠にうまくはまらないと思った時の絶望感。性経験の少なさへの嘲笑、性被害の軽視。自分が誰かを傷つけてきたかもしれないことへのオブセッション。性別という社会的属性を引き受けざるを得ない環境。
「ミューズは溺れない」に引き続き若杉凩が本作も大変素晴らしく、ガールフレンドへの指ハートからの「みんなが尊重してます!って感じで扱ってくる」ことに対しての愚痴をこぼすシーンが最高だった。
特に終盤の場面は見ているだけで胸が締め付けられるようで、安易に見返すのが憚られるような作品ではあるが、本年の最重要作であることは間違いない
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