ふかいさんの映画レビュー・感想・評価

ふかい

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ドント・ウォーリー・ダーリン(2022年製作の映画)

4.0

家に閉じ込められた妻が、何の仕事をしているのか分からない夫の裏に隠された真相に切り込んでいくという展開で、オリヴィアワイルドは「スパイの妻」(もといロメールの「三重スパイ」)を観ているに違いないと途中>>続きを読む

ある男(2022年製作の映画)

4.1

冒頭安藤サクラのクローズアップに切り替わった瞬間に涙が頬を伝う。この唐突な涙一発で観客に不穏さと不気味さを感じさせることに成功しており、「万引き家族」に続いて表情の演技という意味では安藤サクラが突出し>>続きを読む

芝居道(1944年製作の映画)

4.0

時勢的にプロパガンダ色が色濃く出ているにもかかわらず、終わり方は成瀬らしからぬとも言えるほどただただハッピーで朗らか。戦勝祝いの花火ショットと4人が会話をしている引きのショットが交互に。娘が戸を閉める>>続きを読む

細い目(2004年製作の映画)

4.6

「タレンタイム」同様、中国語・マレーシア語・英語が入り乱れて飛び交う。ロメールやホンサンスのように登場人物が第二言語で喋る作品が個人的に好みなのだが、この作品もその系列に位置付けられる。
ストーリーや
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恋人はアンバー(2020年製作の映画)

4.0

ドラァグクイーンの胸に身を預けて踊るシーンが美しすぎてオンオン泣いてしまった。父親から押し付けられたpatriarchyに絡め取られるのは仕方ないけどそれを他人への身体的暴力につなげてしまうのはダメで>>続きを読む

抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-(1956年製作の映画)

4.5

どうやって撮ったのかまるで分からない奇跡のショットの連続。特に向かいの塀に紐を投げる→うまい具合に角に突っかかる→綱渡りの場面の緊迫感とアクションつなぎの滑らかさが絶品。
手をアップにした物の受け渡し
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女の中にいる他人(1966年製作の映画)

3.6

成瀬ががっつりサスペンスを描いたらどうなるか…晩年の傑作「乱れ雲」のような雰囲気はあるものの、ストーリー展開も演出もそれほど秀でた部分は見出せず。殺人の原因がいかにも俗っぽいのと、トンネルのシーンの構>>続きを読む

窓辺にて(2022年製作の映画)

4.1

「ドライブ・マイ・カー」霧島れいかが倒れるまでの展開をそのまま引き伸ばしたような140分。熟練の会話劇で飽きさせることはないがさすがに冗長ではないか。コンパクトにまとまっていた快作「愛なのに」「街の上>>続きを読む

河内山宗俊(1936年製作の映画)

4.2

シネスイッチの上映、さすがに音量が小さすぎないか…?セリフが全く聞き取れずストーリーを追うことを途中で放棄してしまったため、上映後喫茶店に駆け込み爆音イヤホンのプライムビデオで脳内補正。
外は雪が降っ
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丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935年製作の映画)

4.9

ギャグ的なカットとカットの繋ぎ目(「竹馬なんか買ったらいけません!」→竹馬に乗っているショットなど)のモダンさにビビる。浮気がバレたことが分かった時の源三郎の慌て方も素晴らしい(ラストの「壺が見つかっ>>続きを読む

トスカーナの贋作(2010年製作の映画)

4.8

ちょっと凄すぎないか…?
本物/偽物の二元論的な価値観からそれらが捨象されあらゆる境界が曖昧になった世界で、その日初めて出会った(とされる)男女が「15年連れ添った倦怠夫婦」を演じることになり…という
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ウディ・アレンの重罪と軽罪(1989年製作の映画)

3.5

まあまあ。浮気相手と上手くいかなくて殺しを画策っていう点では後年の「マッチポイント」の方が断然良く出来ている。ウディアレンが自分で作った独裁者風編集の記録映画をニコニコ観てるとこは良かった。ミアファロ>>続きを読む

次の朝は他人(2011年製作の映画)

3.7

「僕たちはもう会わない方がいい」とわずか数日間で2人の女性に同じセリフを吐く男は情けないしそれに素直に応じる女側もホンサンスの嗜好的な部分が大いに込められたキャラクター造形だと思うが、不思議と心に残る>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.8

16ミリフィルムのザラザラした質感は普段自分が目にしている視界と全く異なるはずなのに、登場人物全員がたしかに"生きている"、そしてなぜか日常よりたしかに"リアル"なものとして感じられるのだ。
普段見慣
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.2

断片的に過去の記憶が挿入される(視点を変えながら同じセリフが繰り返される)のはヴィルヌーヴの「メッセージ」ぽい。
「コロンバス」ほどキメキメな構図は少なく、基本は引きの固定カメラで穏やかな流れを作り出
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エドワード・ヤンの恋愛時代 レストア版(1994年製作の映画)

3.9

劇場ではお洒落フランス映画を見てる時のような軽快な笑いが。と思いきやこの作品はウディアレンを意識していたという後解説が。
濱口竜介監督が語るところによればエドワードヤンは作品ごとに「驚くべき跳躍」があ
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エリ・エリ・レマ・サバクタニ(2005年製作の映画)

4.5

究極のASMR映画。
中原昌也と浅野忠信の音の探り合い、特に長い弦を一本張ってそれにリバーブやら歪みやらのエフェクトをかけていく長回しが好きだった。これは映画館で見たい…
時間を超越して存在しているよ
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.2

dommuneウォッチパーティー(町山智浩&菊池成孔の生解説!)で数年ぶりに再見。
正直序盤人殺し→逃げるところの謎の時制バラバラとガソスタで車が吊り上がるところくらいしか記憶に無かったが、細かく観て
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噂の女(1954年製作の映画)

3.9

田中絹代の愛人で、結局娘の久我美子と良い感じになってしまう医者の男の間の抜けた表情が笑える(演芸を見に行って演者の女性に目移りしてしまうのを田中絹代に制されるシーンが面白い)
娘といちゃついてるところ
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あにいもうと(1953年製作の映画)

3.6

大した事のない脚本でもどこまでも繊細な成瀬の演出力によって名作に思わせてしまう。これだけ暴君な森雅之は初めて観た。久我美子がカメラの手前に座っていて奥にいる京マチ子と話すショットが好き。

赤線地帯(1956年製作の映画)

4.3

セットの中を登場人物が動き回るが、常に計算され尽くした位置関係でこれしかないと思わせる、更にそれを滑らかかつスタティックに追っていくカメラの名人芸。増村作品のように様々な憂き目に遭うあややもいいが狡猾>>続きを読む

ハズバンズ(1970年製作の映画)

4.2

馬鹿笑いした後にブチギレる、その境目がどんどん曖昧になっていくにつれて、この人は怒っているのか楽しんでいるのかどっちなの?という不安感がどんどん増していく。それが爆発するのがカサヴェテスとナンパした女>>続きを読む

卍 まんじ(1964年製作の映画)

3.6

日本映画最古と言ってもいいレズビアン映画。若尾文子の婚約者は「異性愛と同性愛は別物」と話しポリアモリー的な関係を持ちかけるも、次第に独占欲が湧き出て決裂。若尾文子の色気に勝てなかった岸田今日子とその旦>>続きを読む

赤い天使(1966年製作の映画)

3.8

バケツの中に切断された手足が投げ込まれるショットの恐ろしさは白黒ならでは。人生最良の瞬間→飛び降りを繋げる手際の良さと残酷さ…若尾文子が軍服を着て「靴を履かせろ!」と命じるジェンダーロール反転のシーン>>続きを読む

遊び(1971年製作の映画)

3.2

蟹江敬三率いるヤクザ集団のホモソーシャル性暴力シーンがキツすぎる…やはり同じ監督作でも60年代から80年代へと時代が進むにつれてどんどん女性をモノとして扱う文化が強化されていくのかなと。成瀬、溝口、小>>続きを読む

痴人の愛(1967年製作の映画)

3.1

塩田明彦「月光の囁き」の元ネタ?田村正和のキャリアにおいて消し去りたい過去ではないか。3人の男と1人の女が雑魚寝するシーンは忘れ難いが、それ以外にあまり良いところが見つからない。

麦秋(1951年製作の映画)

4.4

ここでも原節子の意向が全く介入せずに家族が結婚相手を決め、母親が「40歳なんて可哀想」と言うと義理の兄の笠智衆が逆上する。本作での笠智衆は義理の妹の結婚のことしか考えておらず、そのせいで周りとの衝突も>>続きを読む

お早よう(1959年製作の映画)

4.9

最初から最後まで爆笑。密集住宅地の路地から(家と家の隙間から)見える土手を歩く人を捉えた序盤のショットから完璧。ご近所付き合いの面倒臭さ(又聞きと推測の連続)が詰め込まれた繊細な脚本。物干し竿に掲げら>>続きを読む

清作の妻(1965年製作の映画)

4.3

模範生でなくてはならないという強迫感(それを表すのが早朝に鐘を鳴らすという何ともはた迷惑な行動)+自分を犠牲にしてでも国家に奉仕しなければならないという全体主義の欺瞞(戦地から帰ってきた清作に対して「>>続きを読む

木と市長と文化会館/または七つの偶然(1992年製作の映画)

4.4

ロメールの中でもかなり傑作だと思う。
雑然とした話に見えて一本筋が通ってるし、ウィットに飛んだ掛け合いは無限に見れる。思い出したかのように登場人物の顔に寄っていくズームも面白い。小さな子供が大人と対等
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美しき結婚(1981年製作の映画)

3.7

途中縦移動のなかなか良いショットがあった気がするがあまり覚えてない。外ロケの撮影は押し並べて美しかったな~
黒沢清「復讐 消えない傷痕」ばりの歪なテクノ。フランスにおいてもpatriarchalな結婚
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