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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいのしのレビュー・感想・評価

4.1
 面白い。それに想像以上にメッセージ性の強いいい映画だった。

 コミュニケーションの持つ加害性がテーマの一つにあると感じた。これは自分で考えたこともなかったのでかなり新鮮だった。

 個人的には、この悩みを持つ人たちの描き方が非常によかった。「ぬいサー」という、ともすると酔狂なサークルに入ってるとも思われかねない人たちは、それ以外の場所では、友達や恋人がいる。すなわち、社会に属せないような変人として描かれていなかった。そのため、これを観た人もこのような悩みを持つことはおかしなことじゃないんだと思えるんじゃないかと感じた。

 加えて、社会の怖さ、傷つきやすく脆い人たちにとって社会の成熟してなさも描かれていた。このような社会の中では白城さんのようにセクハラや加害的コミュニケーションに慣れなければならない、それを耐えるのが当たり前というマッチョな考え方が普遍的となり、傷つきやすい人たちを無意識ながらも排除しているのではないかと感じた。
 
 さらに、「彼女が好きなものは」でも描かれていたように、日本では同性愛者をその1人の人間としてではなくある種「キャラ」のような見方をしてしまうということは自分自身もしてしまいそうだなと思ってしまう。。
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