似太郎

バートン・フィンクの似太郎のレビュー・感想・評価

バートン・フィンク(1991年製作の映画)
4.5
これは謂わばコーエン兄弟版『サンセット大通り』であり、ネタに詰まった脚本家の苦悩と幻想を描く『8 1/2』のパロディみたいな趣き。

ハリウッド黄金期の隠された秘密やスキャンダラスを寓話的なアプローチで描いている。ケネス・アンガーの名著『ハリウッド・バビロン』にも近い。

主演のジョン・タトゥーロが現実と虚構の区別のつかないイカれポンチな人を好演している。
『8 1/2』の主人公・マルチェロみたいな大胆な女ったらしと比較して、こちらは権力者(ハリウッドのプロデューサー)に抑圧されてる側。要するにダメ人間。

フェリーニとコーエン兄弟ではやってる事が微妙に違っており、虚構性たっぷりな前者(すでに巨匠ポジション)よりも草食系や文化系に近い後者の方が、幾分感情移入しやすい。

主人公の唯一の理解者である恋人とSEXした後、恋人が何者かに殺害されてたり隣人のジョン・グッドマンが突如ライフルをぶっ放して暴走したりシュールな展開が多数。おふざけ要素が強く如何にもコーエン。

総じてエンタメ度が高く、大して芸術映画(?)という気がしない。人を食った怪作。
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