ケンヤム

バートン・フィンクのケンヤムのレビュー・感想・評価

バートン・フィンク(1991年製作の映画)
4.5

久しぶりに言語化できない不思議な映画に出会った。


フィンクの脚本家としての苦悩を描いていく映画だと思っていたら、話がどんどん変な方向に逸れていく。
これは、コーエン兄弟作品によくあることであるが、この映画は話の逸れ方が特に難解な構造になっている。


フィンクの苦悩は人間の普遍的な苦悩でもあるのだろうか。
生への執着と同時に引き起こされる死への執着。
それを突き詰めていく、作家という仕事の苦悩。
それはそのまま、人間の普遍的な苦悩でもある。


その苦悩から解放されるために、フィンクはチャーリーに魂を売ってしまったように私には感じられた。
それによって、人間の普遍的な苦悩に気づき、脚本を書き上げたのではないだろうか。


ここまで、書いてはみたけれどやはり書けない。
このモヤモヤする感じはなんだろう。
全て理解しているようで、全て理解していないような感じ。
コーエン兄弟の映画を見ると、いつもこの気持ちになるのだが、この映画は他作品よりも特にその感覚が強い。


だから、コーエン兄弟の映画はクセになる。

また見よう。
ケンヤム

ケンヤム