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バルド、偽りの記録と一握りの真実のnileのレビュー・感想・評価

5.0
東京国際映画祭

こんな異次元の撮影始めて観た。初見が自宅のテレビは勿体無さすぎるくらいには圧倒的。劇場公開されるらしいので絶対もう一回観に行く。

とにかく撮影が凄い。横移動、役者の顔を舐め回したり下からグイッと覗き込むような変態チックな画角や大規模なセットや大自然を申し分なく使った撮影など最初から最後まで圧巻。David BowieのLet's Danceがアカペラで流れるダンスパーティーのシーンが流れた瞬間訪れる没入感や現実と映画(フィクション)の世界が『インセプション』のようにシームレスに繋がるのも全てはこの撮影あってこそ。

ドキュメンタリー映画作家の主人公がメキシコへの凱旋帰郷。家族や友人との仲、メキシコ人であることから必然的に生じる故郷への愛やアメリカへの移民問題、あとは今作のタイトルであるチベット仏教の用語から取った『バルド』にふさわしい赤ちゃんや幽体離脱による死生観など様々なトピックを時に幻想的に、またある時はブラックユーモアを交えつつ現実的に3時間ノンストップで描いてみせた大傑作。
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